第19話 番外編 アリー!
「クルッ、ククッ?」
ダリウスの肩に止まったハヤブサが、おねだりするような声で、ダリウスにすりすりしている。
「ああ、育ててもらったから、親だと思っているんだ。甘えてるんだろ?」
「・・・・そ、、、そうだね!」
「アリーは、私にはなつかないな、、、、この前も威嚇してきたぞ?」
「・・・・・」
「なんか時々、獲物を狙うような目で見てくるから、、、慣れるには時間が掛かるのかな?おい、アリー?お前の御主人の奥さんだよ。つ・が・い。わかるかあ?」
今日は新しい温泉地の視察を兼ねて、ダリウスと遠乗りに出掛けた。アリーもたまには外を飛ばしてやろうと、連れてきた。アリーの調教師も一緒だ。
セーカーハヤブサは、ウサギぐらいなら狩れるらしい。
ただ、この子は食い意地が張っているので、獲物を隠しながら食べてしまうが、、、、
「さあ、アリー、飛んでおいで。」
ダリウスの左手から、アリーが飛び立つ。なかなか、、、、かっこいいなあ、、、
高く飛び上がったアリーは、獲物を見つけたらしく、急降下してきた。
「おお。何か見つけたのか?早いな?」
アリーは真っすぐ私の所に向かってきた。足元にネズミでもいたんだろうか?
私は、、、、とっさに、、、、条件反射的に、、、剣で、、、もちろん鞘付きだが、、払ってしまった。
「すまん、アリー大丈夫か?」
ダリウスにしがみつくようによじ登ると、肩先でまた甘えた声を出している。
「あはは、大丈夫そうだな。甘えん坊だな?」
隣にいた調教師が、笑いながら言う。
「いえ、奥様、あれは発情期の、番に対する求愛行動ですよ?」
「・・・・は?」
「・・・・・」
「・・・ダリウス、その鳥をこちらに寄こせ。叩き切る。」
「アイリーン?ちょ、、、ちょっと落ち着いて」
アリーはダリウスへのすりすりをやめない。
アイリーンが、剣に手を伸ばす。
「お願い、アイリーン、落ち着いて?ね?」
「・・・どちらが、、、」
「?」
「どちらが正妻なのか、思い知らせてやる。」
お願い、、、、、