第18話 カルロス!
「お姉様のご結婚、おめでとうございます。遅くなりましたが。」
「・・・ありがとうございます。」
「お祝いに、、、温泉の技師を派遣いたしました。」
「聞き及んでおります。」
「いいリゾート地に育っているようですね?いつか、ご一緒したいです。」
「・・・・・・はあ、、、、、」
あのチャラかったカルロスは、、、その辺の騎士より短くしたこげ茶の髪に、相変わらずの濃いブルーの瞳。ふにゃ、とした姿勢が、毅然としている。まあ、、、王だし?
肉付も良くなったようだ。素振りしてんのかな?
「はい。続けておりますよ。」
あ、、、、そう。
二人並んで、中庭をぶらぶらする。少し、寒いわね。
時々、、、、窓際のカーテンが揺れるので、侍女たちが様子を伺っているんだろう、、、、
「今回はもちろん、信頼のおける側近を連れてまいりましたので、前回のような不祥事は起こしませんよ?」
窓のカーテンをチラ見していたのがばれたのかしら?
「あなたにとことんまで言われなければ、事の重大さに気が付けないまま、なんとなく王位に就いていたと思います。本当に感謝しております。」
・・・・ちっ、カルロスのくせに、、、、
「ハエは全て払いました。少々時間が掛かってしまいましたが、、、、それで、イングリット様に言われた通り、出直してまいりました。」
そう言って、にっこり笑ったカルロスは、自分のコートを脱いで、私の肩にかけてくれた。
「あの時の、、、、ご返事を聞きにまいりました。イングリット様、、、、」
耳元で言うな!!!
ああ、、、、なに?これ?私、、、、詰んでるの?
「そうでございますねえ、、、、くすっ、、、」
「・・・・・」
「あの男、ケイ様のことはすぐに調べました。確かにご優秀な方でしたね。しかも、なんだかんだと王家につながりがある、、、、、ただ、、、、あなたがあの方とご結婚を考えてはいないことも、調べました。」
「・・・・・」
「それで、、、時間が必要だった僕は、それを逆手にとって使わせていただきました。」
「・・・・・???」
「学院と社交界に少し、、、、噂を流させていただきました。」
「は?」
おーまーえーかああああ????
「お陰で、変な虫も寄り付かず、のんびりと学院生活を送られたのでしょう?僕の猫かぶり姫?」
「・・・・・」
あんぐりと、、、、あきれ果てた私の手を取って、膝をついたカルロスが、、、、
「僕と結婚してくださいますよね?僕は、あなたに言われたことを全て履行いたしました。貴女の猫ごと、愛しています。姫、、、、御褒美を、、、、、」
・・・・・詰んだか?
私が払いきれなかった指に、口づけを落とすカルロスは、、、、私を見上げて笑った。
*****
12月の大舞踏会では、私はこげ茶のドレスを着た。
なんだか、ことのほか似合って、、、、、ムカつく。
ダンスはかなり強引に、、、、2曲踊った。決まりかあ、、、、
踊り終わって、国王陛下にご挨拶すると、母上と大笑いしていた。まあ、、、いいか、、、。
こうして、、、、私は海を渡った。
ことのほか、海洋性の気候は過ごしやすく、のびのびと過ごした。
カルロスは約束通り、側室も置かず、やたらめったら女性を口説くこともなかった。よしよし。
ただ、、、驚いたことに、、、この国の男たちは、息をするように女性を口説く習慣?があるらしく、、、、それに慣れるのには時間が掛かった。
猫は、、、、あれからかぶっていない。
本文完結です。
番外編が続きます。