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第15話 残念なカルロス

「お姉様、、、お忙しいところ、相談なんですが、、、」

「なんだ?」


いそいそと、二人分の食事を運んでいた姉を捕まえる。


相談は他でもない。もうすぐ、10月の舞踏会なのだが、カルロスの付きまといがひどいので、あいつの自信も何もかもへし折って差し上げたい。そしておとなしく帰っていただきたい。・・・このままあいつのペースにはまるのは我慢ならない。


「そうねえ、、、あんまり、自分の思うようになると思われても困るかなあ、、、かと言って、誰か適当に選ぶと、あなたも困るんでしょ?」


しばらく考えていた姉は、あら、、、そうだわ、、、と、ふふっ、、、と笑った。


「いたわ!一人だけ。」




*****


10月の舞踏会に私をエスコートしたのは、黒髪を緩く縛り、色気駄々洩れの、、、姉の同級生。ケイ様。父の友人の息子さんらしい。父と母が、面白そうに眺めている。


姉の同級生だが、、、、一年で、高等部をスキップして、今はアカデミアに行っている。一年で、高等部の図書を読みつくし、アカデミアに行くと、王立図書館に出入りできるから、と、さっさと行ったらしい。

「お前を愛している、という項目以外は、クリアだな。あの一族は、社交に全く出てこないんだが、、、ちょうどほしい本があったらしくてな、アルバイトに応じてくれた。バイト代はイングが払ってね?」

「・・・・・」


エスコートは完璧。ダンスも完璧。にっこり笑われると、、、まわりのご令嬢ごと倒してしまうほど、、、、酒も強いみたいだ。こんな人が、、、、いるんだなあ、、、恐るべし姉上のネットワーク、、、、


さすがの私も、、、頬が熱くなる。黒曜石のような目が合うと、、、、鳥肌が立つ。


わたしだって、それなりにちやほやされた。姉もいい見目だった。ダリウスもかわいい系のいい男だし、カルロスだって黙っていればそれなりにいい男だ。

だがしかし、、、、この男は、次元が違う。


一曲踊って、もう、、、注目の的よおお!!!


なんか、ホント、カルロスが普通の人に見えるのが不思議よねえ、、、、ふふっ、、、


肩を抱かれて、バルコニーに出る。

夜風が気持ちいい。


「・・・そう、アリーはルシアに行くんですか。あの国は、温泉が豊富ですからねえ、、、あれを、、、使えませんかね?成分、、、いや、直接は塩害の恐れがありますか?ミネラル分なんかは使えそうなんですがね、、、うーーん、やはり、熱源の利用がいいですかね?温室、も、楽しそうですね。思いもよらない温暖な地の作物が作れるかもしれませんね。うーーーん、、、温泉ねえ、、、、観光業、の線もありますね。ブリアにはほとんどないので。そうなると、、、街道の整備、治安の維持、自然環境の保持、長期宿泊できる宿もいりますね。うん、、、お土産もあったほうが良い。目玉の料理も、、、あそこの、、、ルシアの特産物は、、、、蕎麦、ですか、、、、ソバね、ソバ、、、、、、」

「・・・・・」


かなり、、、個性的な方だ。



カルロスがバルコニーまで追いかけてきて、絡んできたので、きちんと言っておいてもらう。

「私はペイン国の王太子のカルロスだ。きみは?なぜ、イングリット様のエスコートを?」

「え?ああ、、、僕の叔父は、栄国皇帝のハオランです。なにか?」


この余裕!この威厳!

打ち合わせしといてよかったわ!!!!完璧よ!ケイ様!!!


目を見開いて驚いているカルロス、、、、くすっ、、、ざまあだわ、、、


「それでも!諦めきれません!イングリット様、僕の妻になって下さい!!!」


「・・・・あなたの、、、自信のある所は悪いことじゃないわ。ただ、、、中身が伴っていないのよね?中身が。言ったでしょ?自分の頭の上のハエも払えないような奴、魅力ないのよ?うちの国の威厳で勝ち取った王位なんて、もろすぎるでしょ?あなた、私まで巻き込まないでよ。いい?」


ああ、もう、、、どこまで言えばわかるんだろう?


「本気なら、自分できちんと王位を取って、自国を安定させてから出直しなさいよ。わかる?私の言ってること?」


「・・・わかった、、、、」


ほんとかよ??まあ、、、なんでもいいか、、、、


「参りましょ、ケイ様。」


私たちは、カルロスを置いて、バルコニーを後にした。





*****

カルロスは、帰国した。思ったより、あっけなく。うふふ、、、


姉上にお礼かたがた、ケイ様がどんな面白い方だったかを話して聞かせる。


「・・・・温泉、、、、ね?」


姉上が、にっこりと笑う。


「そうそう、おばあさまがな、イングにケイはどうなのかと聞いてきたぞ?」

「え?、、、、、、無理じゃないかしら、、、、毎朝、あのお顔を拝見して、毎朝、鳥肌が立つ自分が、少しかわいそう、、、」

「?」

「とにかく、私は高等部生活を謳歌いたしますわ!あと2年、楽しく生きて、素敵な殿方を見つけるんですの!!!」


カルロスが帰るとすぐに、ペイン国から、ルシア国に慰謝料と賠償金が、ブリア国に騒動で掛かった経費分の支払いがあった。


姉とダリウスも、もうすぐ出発するらしい。














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