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マルチ炎上

作者: 河野流

 SNSには本当に気を遣う。世界に発信されるどんな投稿も、誰にポジティブに取られるか、ネガティブに取られるかはわからない。仲間内での楽しかった思い出を上げただけで、顔、髪型、写真の撮り方、食べたもの、背景、その何もかもがアンチの対象になる。予防線を張って、気の利いている部分を上げると、いい子ぶりっ子、と言われる。結局こうなると鍵垢に落ち着くしかなくなる。


 私も元は公開垢で、顔出しはせずに普段の服や、最近観た映画、流行りのカフェの写真などを上げていた。その時々に、意味不明な、きっと傷つける目的で打ち込まれた文字達が、コメント欄に残されていることがあった。真面目に読んでいるといらいらするが、こんなことをSNSに消えないタトゥーとして刻んでしまう、哀れな人達なんだろう、と性格悪く割り切った。けれど、段々とそんなコメントが増えるごとに、身体にも不調が出始めた。それくらいで大袈裟な、と思われるかもしれないが本当だ。常にお腹がキリキリと痛み、その原因がSNSだと気づくのに、そう時間はかからなかった。アプリのアイコンを開く指も震えていた。それで思い切ってアカウントを消し、しばらくはSNSから離れることにした。


 しばらくして、身体の不調はすっかり良くなってから、承認欲求が私の中で渦巻き出した。嫌な思いをしたはずなのに、気づいた時には新しいアカウントが出来ていた。自分でも異常だと思うが、ポジティブなコメントが来た時の気持ちよさを、また味わいたいと思ってしまった。ただ、さすがに辛い思いをまた経験したくはないから、鍵垢で、繋がる人も、自分の友人や知人に留めることにした。


 ある時私は、地元の友達と遊んだ日の自撮りを、顔にモザイク加工をして上げた。その時には、友達の友達とも繋がり始め、かなりの人と絡んでいた。友達の友達まで来ると、それは他人だ。他人への疑いが緩み、鍵も外していた。それもあって、自分の顔をそのまま上げるのは抵抗があったから、毎回モザイクはかけるようにしていた。その写真は、私の狭いアパートで、友達と昼から飲んでいた時に撮ったものだった。

“久しぶりすぎる。このノリで昼から飲めるのコイツだけ”

こんなスクリプトを付けて。

 

 いつも通り、楽しそうだとか、今度は呼んでよだとか、私を気持ちよくさせるコメントが打ち込まれる。でもこの時、いつぶりかのアンチがついた。

“陰キャの癖にイキってて草”

動悸がしかけたが、見たところ捨て垢。冷静にブロックして、コメントを削除した。またあの、哀れな人だ。


 それからは何となく投稿するのが億劫で、二週間ほど放置していた。はずなのだが、コメントを知らせる通知が来た。過去の投稿にコメントがついたことを知らせてくれたようだ。そのコメントは目を疑うものだった。私の住所だった。一瞬で汗が吹き出て、指先が震え、視界が歪む。動揺でどのアカウントから来たのかも確認せず、固まる指先で画面を叩いて、コメントを削除した。


 私のアカウントは非公開に戻した。自分の直接の知り合いではないアカウントは、フォロー欄からもフォロワー欄からも削除した。


 なぜ私が?


こんな目に?


遭わなければならないのか?


 幸い、すぐに気づいたことで、私の人生はこれまでと変わりはない。でも、もしかしたら。もしかしたら私は終わっていたかもしれない。素性のわからない捨て垢に、終わらせられるところだった。許せない。許さない。誰であっても関係ない。次の火種は私が撒いてやる。

正直、駄作です。短めのお話、いくつか投稿していけたらいいなと思ってます。

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