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第七の到達点 歴史の特異点 漆 支配終焉

 創歴十九年 ??? ニヒル アダムス


 あれは、何だ?レイノルドなのか?六枚の翼を持つその輝かしく見えるあの姿に私は思わず見惚れた。あれがあいつの本来の姿・・・


 『これが本当の俺だよ、ニヒルちゃん・・・』


 「ん・・・」


 こんなとんでもない時私は一体何をしてる、さっさと目を逸らせ・・・心臓の鼓動を抑えろ、落ち着け・・・深呼吸しろ。


 「っ・・・ふぅ、レイノルド。お前これから何をする気です?黙示録ってなんですか?」


 『黙示録、そう言えばニヒルちゃんこう言う神話全然興味なかったもんね。まぁ簡単に言えば予言だな、昔俺が神と戦った時、ある人物にその計画書を書かせたんだよ、ただちとやり過ぎてな、それのせいか神の奴にだいぶ本気で反撃されちまって結果計画半ばで引き分け、また再度チャレンジしてるってわけ。とりあえずラッパや騎士たちの条件は満たした』


 「満たした?ルシフェルさん・・・まさかと思うけど、僕やニヒルさんの持つセカンダビリティってのは」


 『あぁ、お前たちの力であると同時に俺たちの封印を解く力でもあった、悪かった何も言わなくてよ。それぞれの力を完全なる状態で七回ずつ。これが黙示録を再開させる為の新たに課せられた条件だったんだよ』


 永零は分かっているみたいだが、私には何の事かさっぱりだ・・・私の力でもレイノルドの、ルシフェルの心の奥底までは分からないんだよ。


 「成る程、でもルシフェルさん。黙示録は確か神に選ばれた者が生き残るって話があったよね」


 『あぁ、そうだな。でもあれちゃんと読んだ?条件を満たせる人間はこの世の何処にも有りはしない。人間は常に何かしらの罪を背負う、生まれた瞬間からな。つまりは神に選ばれる事の出来る人間はいないのさ。だから代わりに俺が選ぶ、そして選ばれるべき人類はお前たちだ』


 ここにいるみんなが選ばれし者って事は・・・


 「させんぞ、ルシフェル!!リリア!!お前の真の力を!!」


 『黙れクズ野郎』


 レイノルドが言葉を発した瞬間、復活したリリアが消し炭になって消えた。


 「な、何だ今のは!!」


 『うるさいな、まずは世界の賢者どもを消すか・・・』


 ・・・


 「っ!」


 私はレイノルド腕を掴んだ。


 「お前こそもういい、こいつらに殺す価値なんて無いです」


 『何のつもりだよ、ニヒルちゃんももう分かっただろ?話し合いが通用しない相手だって』


 「あぁ、私は間違ってた。言葉を発する事をやめなければいつかは世界に届くと、思ってた・・・けど、世界は違った、世界に聞く耳は無かったです。けど、だからと言ってレイノルド、これしか救える道はないですか?」


 『うん』


 何を言ってるんだ私は?それが無理なんだって話なんだろ?そうじゃ無いと私が死ぬからレイノルドはこの黙示録とやらをやる羽目になった。


 でも、その結果何人死ぬ?私たち以外が全て死ぬ・・・割に合わないだろそんなの、私なんかより生きるべき人は大勢いる。そしてこのクズどもでも、私が生きる為に死ぬ必要なんかないだろ。


 情が移ったのか?いや、これは多分単純な答えだ。人間として当たり前のように思う事だ。


 「私や、お前の都合で人殺しなんてダメだ。ましてや大量虐殺は以ての外です。私はそこまでして生きたくはない」


 『・・・君の口からそんな事を聞きたく無かったよ、それは桜蘭を捨てると言ってるようなもんだよ?サナとルナをも捨てる、つまりはあのチャールズと同じ事をしようとしてると同じだよ?』


 「サナ?ルナ?」


 『俺が名付けたの、新しい世界で一緒に光の中でも闇の中でもみんなを見守る太陽と月、だからサナとルナ。ニヒルちゃん、俺は知ってる。君はあの子を絶対に捨てたりしないって。ニヒルちゃんの言いたい事は分かる。けど、まだこの世界は犠牲の連鎖から脱出出来てない。まだ何かを捨てなくちゃダメなんだよ。けど、これが最後の犠牲だ。ニヒルちゃんは絶対に俺が守る・・・』


 くそ、どうしてだ。どうしてこうなる、何故私の言葉はいつも届かない・・・届くと思った最後には世界の前に消えてなくなる、そして勝つのは世界の意志・・・


 そうか、やっと分かった。人間は全てが罪、そう、生まれる事も生む事も罪だったんだ。名前、それは親が子になすりつける罪の名。人間は生まれ持って親の罪をその背に背負う、そして親は子にその罪を着せる。それを永遠と繰り返していた。その負の連鎖がこの事態を招いたんだ。


 私に出来る選択は、どちらかを犠牲にするしかないのか。いくら考えても、時間もない・・・そして私には自分の子を犠牲にする覚悟は絶対に持てない。だからレイノルドはその罪を一身に背負う事にした、私たち家族を守る為に・・・


 「っ・・・ダメだよ」


 その時だった、レイノルドの手を止めた奴がいた、永零だ。


 『どうして?』


 「どうしてだろうね、僕はずっと世界はもっと凄いものだと勝手に思ってた。けど人間で管理出来る世界なんて底が知れてるってのを今目の当たりにした。ようやく君が正しかったと思った・・・でも、僕の中に何かが引っかかってる。これは僕の人間としての思いだ、虐殺はしてはいけないって」


 『虐殺か、それは間違いだぜ永零。人間は勝手に滅ぶ、俺が下すのは裁き、要するに自然災害だよ。隕石に水質汚染、飢饉、たったそれだけでも人間を滅ぼすには十分だ。理由は人間は奪う事しか出来ないからな。その先に人間は自らが戦争を起こし自滅する。人間はこう思うしかなくなる、後悔と仕方が無かったってな。人間は自らの行いを悔いて死んでいくのさ、それが俺の裁きだ』


 「それだけが裁きとは限らないよ、考えるんだ・・・そうだ、記憶。記憶を消してもう一度やり直すんだ。こうなってしまう前に、神と人間は手を組んで!」


 永零も必死に考えているが、それもめちゃくちゃな理論だ。根本的な解決に至るわけじゃない、ただの引き伸ばしにかならないだろう。


 『それは無理な相談だ永零、そもそも人間は神の中途半端な思想が生み出した産物。神と人間は手を取り合えない』


 疲れてきた、考えるのもなんだか面倒だ・・・本当に理解出来ない。何故、何故、何故、私の中には今これしか無くなった、考えるべき事が多すぎる。


 私は私らしくいたいだけだ、それなのにそれをやるには犠牲を払えか。けど、その支払った代償の末に手に入るのは本当に私か?


 違う、それは私じゃない。レイノルドの計画が達成された時、そこにいるのはもう私じゃない。


 「ならレイノルド、私と勝負するです。命懸けの最後の勝負・・・」


 『は?』


 「私はお前も間違ってると今も感じてる、そして私が今やろうとしてる事はもっと間違ってる・・・」


 私は刀をレイノルドに向けた。


 『な、何すんのさ』


 「言ったですよね、私は運命なんか信じない。確かにこいつらに生きる価値は無いかも知れない。しかし、死ぬ価値すらあるか?こいつらには別の裁きがいると私は思う。だからこいつらの命は私が繋ぐ」


 『おいおい、それじゃ何も』

 「変えてやるです、何十年、何百年かかっても・・・いつかは辿り着いてみせる。人間が見せる本当の平和を!」


 『ニヒルちゃん、まさか・・・』


 心を鬼にしろ、私のこれはきっと悪い事だ。でも、最後の希望でもある。託すのは未来、例え今私が死んでも次の転生者は私の意志を継ぐと信じる、私の子たちが本当の平和を導く。


 今はまだその時じゃない、神の見たかった景色はここじゃない。人間と神は相反する、それが無くなった未来だ。未来は変わる、レイノルドもまだ見てない未来を切り開くんだ。


 「ニヒルさん・・・君は今何を言ったのか、分かってるの?」


 永零も驚愕の表情で私に詰め寄った。


 「分かってる、私はこの命を未来に託す。私が私でいられるには、そして桜蘭たちが人間でいる為には私はこの選択をする・・・」


 レイノルドのやろうとしている事、それは結局以前の永零とそう変わらない、誰も死ななくなった世界で生きる事。やはりそこに私は意味を見出せない。


 だから私は選ぶよ、桜蘭を、サナとルナも私の罪に巻き込む事を。


 「みんなも選んで欲しい。勝手な我儘で本当にすまないが、それぞれの正義に従うです。このままここルシフェルの言うように人類が滅ぶべきなのか、私の言う可能性が極端に低い未来を目指すべきなのか」


 また、結局戦い。私は何も変わってない・・・果たして今度は終わったら仲直りで終われるんだろうか。


 「・・・ニヒルさんの言いたい事は分かった、でも君ならいつもはこう言うでしょ?そこに無い答えを探すって。なら今度は僕がそうする。君に出せなかった答えを探してみせるよ、人類の滅亡は世界の滅亡とは限らない。僕のやろうとしてる選択はかつて僕が諦めた選択だ」


 プロジェクト・マキシマ・・・永零はその判断をするのか。全て間違った判断だ・・・けど、誰かにとってそれは正しい答えだ。


 奪い奪われる世界、矛盾の世界。私たちでそれを解決する事は出来ない、理由は単純。私がかつての世界と同じになってしまったからだ。一つの答えしかもう見えない老害なんだ、だから未来が私たちを見て判断する。未来が私たちを見てどう判断するのか、そこに無限の可能性がある。


 神に、世界に未来は決めさせない。決めるのは未来の子たちだ。


 『・・・どうして、どうしてお前は俺を否定する?俺はお前を』


 「愛してくれた、そして守ろうとしてくれた。その事は本当に感謝するです。レイノルド、いや、ルシフェル。私はやっぱり女神にはなれない。自分の子に罪を背負わせてでも私は、人間らしくいたいと思ってしまったんだ。私も結局この世界と同じ、滅ぶべき人間だっただけだ・・・だから、お前は私を止めなきゃいけない、殺してでも。それがお前の役割だったんだろ?ルシフェル」


 「お姉さま・・・」


 「さぁ、話は終わりにするです・・・それぞれの意志を貫くんだ。未来を決める戦いを、ここで決めろ!!」


 

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