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創歴十九年 異世界最終戦争編 世界の魔王

 創歴十九年 ??? ニヒル アダムス


 仮面の男、奴が再び私の前に現れた。私もレイノルドもこの男はレイノルドの中でひっそりとしているものだと思っていたが、それは間違いだった。


 奴の精神は別の所にいたみたいだ。そしてこのタイミングで戻ってきた、全ては私の為だったとかだ。それにしても奴の名前、ルシフェルか・・・


 ・・・知らん、有名人かなんかか?


 「ルシフェル!!貴様一体何をする気だ!?心は変わっても意志は変わらないとはどう言う意味だ!!」


 例の秘密結社の男の一人がルシフェルに問いかける。


 『何回も答える気なんかねーよ、少しはその足りない頭で考えろよな人間。仕方ね、分かりやすく教えてやるか。


 俺はかつて神を殺した、厳密に言えば奴がそう仕向けさせたんだけどな。奴のその計画にまんまとハマったのさ、俺は神を憎み、奴の生み出した人間を憎んだ。俺が与えた筈の世界と言うものが穢されていくのを感じてな。人間は愚かで醜く、奪い奪われる事しか出きない癖に美しくあろうとする。何故そんな存在を生み出したのか理解が出来なかった。


 そしてその人間は神すらも貶めようと画策し始めた、俺はすぐにでもそんな存在は終わらせようとした。しかし神はこれで良いと、人間が神を超えることに意味があると言った。俺は神への怒りで奴を殺した、けど神の死に際、奴は俺にこう言い残した。「俺には答えが分からなかった、世界とは何か、その答えを見つけてくれ」と。


 神が人間を作った本当の理由は世界の意味を知りたかったからだ。神は世界を作り、その世界で生物は産まれ生きて死ぬ。何故そうでなければいけないのか、世界とは何かそれを知る為に神は神でも生物でも無い、この世界のルールに抗う神と生物の間の存在、人間を生み出した。


 俺は長い年月を経て人間の歴史を眺めて来た。ずっと見てきて神の言っていた事はやはり間違っていたと思った、人間はただひたすらに醜いだけだった。そして俺は決意した。世界から人間は滅ぼさなくてはいけないと。そして全てを終わらせようと思っていた・・・だが、その時あんたを見つけたんだ、ニヒル アダムス。


 神が死ぬ事は無い、何処かで誰かに転生して生きている。俺の力ならばそいつを見つける事なんか容易い。しかしお前だけは分からなかった。これまで誰が神の転生者だったのか全て理解していた筈なのに、永零が転生者である。そこまでは分かっていたのに、お前だけは全く奴を感じなかった。


 ほんと驚いたぜ、それで俺はお前に興味が出た。そしてその理由が分かった。お前は神を超えるほどの強い意志を持った人間だった。そしてお前は神が求めた答えを示した、世界とは何なのかをな。礼を言うよニヒルちゃん、もしあんたに会う事がなかったら俺は神を憎み続けていた。もし会えてなかったら俺は世界すらも終わらせていたかもしれない。


 ニヒル アダムス・・・後は俺に任せてくれ。お前は、お前たちには世界の、その答えの先を生きる権利がある。そして平和を掴み取る事のできる権利がある。だから後は俺が終わらせる、今あるこの世界をな』


 そう言うとルシフェルは槍をあの男たちに突きつけた。


 「ルシフェル・・・まさかそのような事を考えていようとは!!だが、残念だな。貴様の力はかつて程の力はないのだろう?貴様も神同様一度死んだ存在。転生者無くしては存在出来ない。そしてその転生者の身体ではかつての力は出し切れない、違うか?」


 『その程度の力で十分と俺は考えているが?お前、もしかしてこの状況を打開する策でもあるって言いたげだなおい。死にたくないってか?いや、お前たちの場合はそこの居場所を失いたくないか。やってみるが良いさ・・・』

 

 ルシフェルは槍を下ろして手を広げて挑発した。


 「ふっ、ぬかったなルシフェル!!」


 っ!!この力は!!男たちは一斉に動いた。私の目で追いきれない速度で彼らは武器を持ちルシフェルの脳と心臓を貫いた。


 「我々に戦う力が無いと思っていたようだがそれは大きな間違いだ。既に我々の身体能力は貴様を上回っている、そしてその生命力はかつての神をも上回ったのだ」


 『・・・ふーん、やるもんだねあんた等も。で?力で神を上回ってどうする?』


 しかしルシフェルは何も無いように振る舞う。流石に少し驚いたが、何故か納得している私がいた。こいつはこの程度で死ぬ訳ないだろと。


 こいつを殺したいのなら、それじゃ駄目だ。


 「っ・・・ならば!」


 『ガッチイイイイィィィン!!』


 激しい金属音が鳴り響いた。驚いた顔をしたのは全員だ、まぁそれもそうだろうな。彼らは更に攻撃をルシフェルに加えようとしたのに対し、その攻撃は私が止めた。流石に二発目はもう追える。


 『何してるんだニヒルちゃん?この程度・・・』


 「五月蝿い、レイノルドの癖に生意気です。後はお前に任せろ?ふざけんじゃねーですよ全く。奴らが喧嘩をふっかけたのは私たちに対してだ。お前が何を計画してようが知るか、私に喧嘩を売ったのなら買う権利があるのは私だ。そして私は買ってやった。だとしたらこの勝負は私がやらなきゃ駄目だろうが。それにルシフェルでしたっけ?いくらあんたが私を思おうが、あんたの意思がレイノルドと同じであろうが、それ以上私の旦那の身体を傷つけてさせるなです」


 私はルシフェルに言ってやった。ルシフェルはポカンとして私を見ている。大体私はじっとしているのが好きじゃない。


 「そもそもの諸悪の根源がここにいるんだろ?なら、今こそそいつ等に私の言葉を伝える機会だ。伝えられなかった、遮られ続けた言葉を直接言う機会を奪うなです」


 『ぷっ・・・やっぱり好きだわニヒルちゃん、カラスちゃんすらも気を許す訳だ。それに、レイノルドの奴また更に惚れ直してるなこれ。だが、奴らの終わりは変えるつもりはない。すまないがこれだけは譲れない。奴らは俺が殺す』


 「いいや殺させない、こいつ等に死なんか要らない。必要なのは知る事。心の底で分からせ自らの作った世界を知らしめる」


 『分かってないな、俺が終わらせるのはこいつ等じゃない、世界だ。この世界を終わらせ俺たちの手で本当に必要だった世界を作り直すんだよ』


 「お前こそ分かって無いですね、世界を作り直すだ?お前は私の何を世界の答えだと思ったですか。私はこの奪い奪われる世界で終わりのない成長と足掻きをする世界を目指した。今ある世界は変わらなきゃいけないとは思うが、終わる必要なんか微塵も思わないです」


 『その成長も最期まで来たんだよ、人間の成長の物語はな、この先これ以上の人間の成長は必要ないんだよ。てか、これ以上人間が成長したら駄目なんだ!』


 「何が駄目なんです!?何を持ってその必要が無いとお前は言えるですか!?」


 『分かんないか!?この状況が!!人間は神の力はを手にした!それってつまり人間は行ってはいけない所まで来たって事だろうが!」


 「いいや分かんないですね!!確かにこいつ等はそんなとこまで技術を進歩させてきたんだろうな!けどそれが人間を終わらせるになるか分かんないです!」


 「っ!!お前が!!一番最悪な形で死んじまうからだ!!!」


 ルシフェルが叫んで私との口喧嘩が止まった。そしてしばらく考えた。何故人間を滅ぼさなくてはいけなくないのか、何故今なのか。


 「ルシフェルさん・・・まさか、ニヒルさんの未来は」


 永零が口を開いた。そしてルシフェルは声を落ち着かせ答えた。


 「そうだよ永零、今ある全ての未来の結末にはニヒルちゃんが死ぬ、それが起こる。セカンダビリティの一つ未来支配、森羅が持つ力は未来が見えるのは知ってるだろ?けど、その力では経過は見れても結末は見えない、彼でも完全にあの力は使いこなせないんだよ。いくら神破聖拳の伝承者だとしても、その力は結末まで見る事は叶わなかった。しかし、俺を受け入れ完全なる神の力を得た俺なら、その力で最後の結末まで見れる。


 このままいけば人類は滅ぶ事は無い、皆の言う通りに永遠の成長を人間は続ける。けどその世界をニヒルちゃんは見る事が出来ない。どの世界線を通ってもニヒルちゃんは世界に殺されて、世界は永遠に終わらない闘争に続く。何万年も何億年も・・・人間は滅びることもできず奪い奪われ続ける。この俺ですら見えない遥か未来、地球が壊れても尚人間は終わらない。だから今終わらせなきゃ駄目なんだよ、ニヒルちゃんが殺される前に!!こいつらを!!」


 「っ!!」


 レイノルドは私を避けて男に切り掛かった。しかし、ただこの男もぼけっと聞いてた訳では無かった。流石に放置し過ぎたな、逃げられた。


 「ルシフェル、よもや貴様この女一人の為に世界を終わらせると言うのか!?」


 「あぁそうだよ、ニヒルちゃんがここで死なない未来を教えてやろうか?お前たちはニヒルちゃんの力の意味を理解出来ないまま人類は遠くない未来にニヒルちゃんも他のみんなも巻き込んで人類はおろか神すら全ての世界にある命が終わる。けど仮にお前たち世界がここでニヒルちゃんを死なせてしまったら、世界はその技術でニヒルちゃんの力を手にする。要するに人類史はもう終わる事は無くなる」


 それってつまり・・・私という存在は、人類の運命を分ける立場って言いたいのか?私の命をここで繋げば世界は終わる、逆に私が犠牲になれば世界は終わらない。


 けど、レイノルドの選んだのはそのどれでもない。レイノルドは私も生きて世界が終わらない未来を望んだ。しかしその犠牲は私たち以外の全て・・・


 「成る程ルシフェル・・・感謝するよ、君のおかげで全ての未来が今わかった。何をどうすれば世界が最も正しい未来に向かうのか!!」


 男が叫ぶとその直後私たちの周囲に大量の兵士が現れた。さっき私たちが倒してきた奴らだ・・・いや、これは違う。この恐怖に包まれたこの感じは、ビーストだ。人の形をしたビーストだ。


 「計画はやはり当初の予定通りだ!貴様等はここで死ぬ運命にある!!ニヒル アダムスも!指宿 永零も!そしてルシフェル!貴様もな!我々人類の永遠なる平和の為の犠牲になるのだ!!」


 そしてそいつ等は一斉に襲ってきた。


 『ズガガガァン!!』

 『ズバババッ!』


 そして動いたのはディエゴと永零だ。


 「ふぅ、夫婦喧嘩のお陰で時間稼がれちゃったね。どうやら二人の喧嘩はまだ終わらないみたいだから、こっちは僕が引き受けるよ。ルシフェルさん・・・君が何を見たのか、僕にはまだ見えなかったから言わせてもらうよ。僕は未来なんて信じない。だから僕はまだ戦うよ?」


 「ルシフェル君、お前はまだ人間を完全に理解するには至っていないと俺は思う。俺の怒りも、お前の心には届かないだろう・・・こいつ等は、何がなんでも俺が・・・殺してやる、一人たりとも生かしてたまるか・・・」


 ディエゴ?この感じは怒りだ、だがこの感覚は異常過ぎる。怒りなんて表現には収まらない。矛先は奴らへのか?いや、この兵士たちにだ。我を忘れかけるほどの怒りでディエゴの心が見えない。


 「はぁ、お前たちは別に戦わなくて良いってのに」


 「何を言ってるですか馬鹿、人間が特にこの私が未来がどうのこうのって理由で怖気付いたと思ったですか?確かに少し考えさせてもらったさ、でも、答えはこいつ等が示してくれた。私はやはりそんな未来のどの道にも無い答えを選びたい。と言うか私は特異点の存在なんだろ?見つけてやるですよ、お前が見つけられない特異な未来をな。レイノルド」


 「ルシフェルって呼んではくれないのか?」


 「ダサい、カッコ悪い、呼ぶのが恥ずかい、却下だ。と言うより仮にあんたがその名が本名だとしても、今のあんたはレイノルドだろ?さっきと違う」


 「え、あー。こりゃ完全に一体化したのかな・・・って、ニヒルちゃん!?俺の名前ダサいってどゆこと!?」


 「あ?なんかダサくないです?中学二年生が考えた名前っぽいじゃないですかルシフェルって・・・あー、呼んだらじんましん出てきた・・・」


 痒いな全く。


 「ルシフェルって、すんごい有名なんだけどな・・・」


 「あっそ、私は知らん。ともかく私はまずこの状況を切り開きたい。その為にはこいつ等が呼んだこの兵士みたいのを倒さなきゃ無理です。おいお前たち、私に喧嘩売るなら買うですよ。お前たちの大義名分もよく分かったですから。けど、それで私は世界の犠牲になんかなりたくはない。抗わせて貰うですよ。支配者共!!


 レイノルド!協力してくれるならしてくれて良い。ただ、私に戦うなとは言うな。次言ったら殺すからな?」


 「本当ニヒルちゃんは、神経図太いなぁ。でもそうだな、俺はまだ計画を変える気はないけどまずはこいつ等か!やってやるか!!」

 

 レイノルドは全身に赤い電撃を纏った。凄い覇気が出せるようになったもんだ。自信に満ちている、今のお前となら全力で喧嘩してやるですよ。

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