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創歴十九年 異世界最終戦争編 世界の運命

 創歴十九年 ??? ニヒル アダムス


 「味方ね・・・八咫烏、お前の言う味方とはどう言う意味です?」


 私はニコニコ笑う八咫烏に質問した。何に、誰にとっての味方なのか、それが分からない。


 「あなたの味方って事は人間の敵って事になるねぇ」


 「私は人間です」


 「いや、もう違う。ニヒルちんは人間じゃない、いくら人間として生きたいと願ってもあなたは人間には戻れない。その思想、意志、それはこの世界における神の意思。あなたはもう人間として生きる事は出来ないの」


 「そう、仮に私の意志が神だとしても私は私だ。私は人間として生きる、誰がなんと言おうとそう生きると己に誓ったです」


 「だよね、ニヒルちんはそう生きたいとずっと願って生きてきた。意志を縛られる事を拒み、平和と自由を求めて生きる事。けど、その生き方はこの世界がある限り絶対に叶う事はないの。


 理由聞きたいでしょ?簡単な事、神の意志とは人間の意志と同じだから、神、全知全能の存在、人間にとって神ってこう言う事を言うんでしょ?でも本当は違う、神は不安定な存在なの。神にも分からない事があってね、神は為すべき事成し遂げたい事なんて無いの。ただ運命だからと言う理由で世界を創造した。そしてその世界で神は考えた、世界と言う意味を、何故存在しなければならないのかをね。


 そこで神は考え、世界の存在理由を知る為に自分の意志を分散させた。そして生み出されたんだよ、様々な思想を持つ様々な人間、様々な人種をね。そして人間に答えを求めたの、何が世界の答えなのかを。そして人間の答えはあなたが一番心の根にまで刻まれた事、意志の奪い合いだよ。


 世界とは、奪い奪われる事。それが神の意志となり、今のこの世界へ繋がった。もう分かるでしょニヒルちん、この世界で生きると言う事は平和に生きる事は出来ないって事。奪って奪われる世界ではね」


 八咫烏は聞きもして無い事を語り続けた。だが、私が知りたかった事はこれだった。何故奪われるのか、何故平和に暮らしてはいけないのか、その答えが今分かった。


 「なら、その世界の意志とやらに私は抗うですよ」


 私は八咫烏の言葉を遮った。


 「そゆ事だよニヒルちん、世界から平和を手に入れたいのならあなたは神になるしか無いの。世界に抗うのなら尚更ね」


 しかし、八咫烏は私がそう答えるのを分かってたように落ち着いた声で返してきた。


 「ニヒル、貴方が平和を望むのは当たり前の事です。しかし思い返して下さい。貴方にそれを望む資格があるのかどうか、貴方は奪われ続けた人間ですか?貴方は何も誰からも奪わずに生きてきた。そう言える自信はありますか?」


 「・・・・・」


 クロノスが私に聞いた。だが、私は答えられなかった。


 「人は常に誰かを傷つけて生きている、傷つけずに生きる事は出来ない。それがこの世界の答え、貴方が人間として生きると言う事はその奪い合いの世界を続ける事になるわ。けど、人間の意志は今や神を超えつつあります。その奪い合いの歴史が終わろうとしている」


 「そゆこと、そんな遠くない未来の出来事を教えるよニヒルちん。世界の奪い合いの歴史はやがて飽和状態になり世界は滅亡に向かう。そしてニヒルちんたちは幼い桜蘭っちを残して死ぬ。それが今ある世界の未来、ルーシーちゃんはその未来を知ってた。それで人間は滅ぶと思って何もしなかったの。けど、あなたの存在はあの男の意志を変えてしまった。


 あいつ、あなたを守りたいってあたしに泣き付いたって訳。例えこの世界の何者をも犠牲にしたとしても、あなただけは守りたいってね。全てはニヒル アダムス。あなたを守る為にね」


 そう言う事だったのか・・・全部、私の為に。


 「一言言えば良いものを・・・」


 「それを伝えたらそれこそニヒルちんは本当に人間として生きる道はなくなっちゃうよ?ルーシーちゃんはね、この運命を回避させる為にずっと動いていた。けど、人間の意志はあの悪魔をも凌いだ、そして事態はここまで来た。さっき言ったよね?あなたの未来にはすぐそこに死がある。そこの運命に抗う術があるとしたらあなたはどうする?」


 「代わりに代償を払えと?」


 「運命に抗うのなら何かを犠牲にする覚悟をしなきゃね」


 「・・・これは私の持論ですが、今の私たちの世界ならば、向こうの世界のルールなんて無視できると思うです。そもそも私たちは向こうの世界のルールを壊すためにこの世界に来たですから。運命に抗う程度の事に私は代償を払う気は起きないですね。それこそ人間らしい欲望ですよ、運命に抗い、自分の生きたい生き方をする。それを望む事に代償なんかいらないですよ」


 「つまりは、全部手に入れてみせるって事?」

 

 「そう、相手が何だろうと誰だろうと」


 「ぷっぷっぷ!!ニヒルちんらしいや!やっぱり不思議な人だねあなたは、自分を曲げる事を知らない。けど、それを貫くのは大変なのは一番あなたがよく分かってるでしょ?」


 「無論」


 「ニシシ!私やっぱり好きだよニヒルちんのこと!ニヒルちん、よく聞いておいて!今まであなたはシンに永零にと神に挑んで勝利してきた。今回もおんなじだよ、ただ相手は神の意志たる存在。向こうの世界の人間全て、それと戦う事になる。そして今のこの状況、人間による神への謀反じゃなくて、神による人間への謀反。つまりこれから行われるのは、神と人間との最後の戦争になるよ」


 「いや、そうはさせない。無駄な奪い合いの戦争なんてさせないです。これもまたただの勝負だ、世界に対してのな。それに八咫烏、私は運命を信じない」


 「本当あなたらしいや、定められた未来なんか変えられる。運命なんて世界のルールは壊しまえばいいってね。あたしも、クロノスもルーシーちゃんも、そこは同意なのよね。あたしもやだもん、せっかくこれだけ書いた人間たちの歴史、それの完結がこんな面白くない結末なんて嫌だもんね。もっと見せてよ、まだまだ見えない答えはあるとあたしは思ってるよ」


 私は八咫烏の手を取った。同じ意見だ、こんな完結なんてつまらなさすぎる。確かに人間の歴史は永遠では無いのだろう。けど、滅びるのは今か?違うだろ?まだまだ人間の欲望の限界は見えない。


 「へっ!まるで神様連合軍だなおい」


 「そうねレイノルド君、人間でありたい神と、神になりたい人間。互いに神の連合軍と呼べるわ、果たして勝つのはどちらなのかしらね。また私は見させてもらうわよ。いや、今回は私も手伝おうかしら」


 クロノスも私の手を握った。


 「クロちゃん珍しくやる気じゃーん?でも確かにクロちゃんの協力はいるよね・・・さ、行くよ二人とも。まずはあの連中どもを蹴散らそっか!」


 八咫烏は屈託のない笑顔をこちらに向けた。


 ・


 ・

 

 ・


 私の目の前には見知らぬ兵士たちがいる。


 「はぁっ!!」

 「おりゃあー!」

 「てりゃー!」


 そいつらに対し私とレイノルドと飯綱は一斉に攻撃を仕掛けた。


 「ぐあっ!!」「ぎゃっむ!」


 そして見事なまでに吹っ飛ばした。


 『な、なんだと?』


 やれやれ、もうそんな声を出すのか。相手が永零ならこの程度、次の手また更に次の手とやられて中々追い詰められた声なんか聴かないってのに。


 「何をそんなに驚いているです?まさかこんな風に反撃されると思って無かったですか?実力だけなら最下位の私の旦那に、神の子と言えどもまだ幼き狐の子、そして腹の中に子を二人も抱えた妊婦、この三人に分断出来れば準備は万全と」


 『そうじゃない、我々が驚いているのは・・・何処に行った?お前の子は!?』


 「あぁ、あいつらなら今しがた産んできた」


 『なっ!?』


 驚き過ぎだ、これだけ言ったなら察しが付くだろ・・・


 


 回想


 「っと、あいつらやっつける前にニヒルちん、ちょっと行く前にやっておかなきゃいけない事があるでしょ?そのお腹の子」


 八咫烏は私のお腹を撫でた。


 「先に産まなければなりませんね」


 そしてクロノスがやらなければいけない事を告げた。


 「産むって、ニヒルちゃんの出産予定まではまだ数ヶ月あるぜ!?それに、この世界じゃ出産予定と二十年が重なっちまう!ってか!今の状況忘れたのかよ!!今まさにあいつらに襲われてる最中なんだぜ!?」


 レイノルドが喚いている、確かにレイノルドに一理あると私も思うが、八咫烏はやれやれと言った感じで遮った。


 「うるさいなぁレイノルド、クロちゃんが今回協力するって言ってんのよ?あの時の神様がだよ?」


 「そうよ、無限に時間を止めるのは私には出来ないけどそうね、貴方が出産するまで向こうの時を止める事は出来るわ、流石にしんどいけどね」


 「それに、何でもかんでも知ってるこのあたしが出産を手助けしてあげるから!大船に行ったつもりで安心しなさいな!ま、無免許だけどねー」


 大船に行ってどうする、鎌倉にでも行く気か?船に乗れ・・・


 「心配ですね・・・」


 なんとなくだが確かに八咫烏は知識の塊のような存在だ。出来るんだろうが・・・この性格だからな。


 「ところでよ、あんたなんでも知ってるつったよな?ニヒルちゃんのお腹の子、結局誰の子なんだ?」


 「まー言うなればあんたの子には違いないね」


 え、あれだけ否定してたのに・・・


 「あっ!?俺そんな危ない事しねーって!!」


 案の定否定した・・・って事は、まさか奴の?


 「うんレイノルドはなんもやってないよ。それにルーシーちゃんもね。これこそこれの元凶は今ニヒルちんたちを追いかけてる奴らの仕業。空間転移の技術の応用ってね、ニヒルちんのお腹の子はルーシーちゃんの遺伝子が入ってる。


 国連の連中の目的は命の女神たるニヒルちんと始まりの神の一人であるルーシーちゃん、両方の遺伝子を持つ子を手に入れる事なのよね。国連の連中、ルーシーちゃんの遺伝子を元とした人工の精子を作って気付かれないようにかつ、上手いこと手に入れられるこの時期の出産を狙って空間転移を使ってニヒルちんのお腹の中に受精させたって事。よーするにあいつらは独自にNTR系で言う所のボテ腹アヘ顔Wピースエンドを突然起こせるって事ね」


 ・・・最後の意味はよくわからんが、なんつーこった。


 「え、ちょ・・・それってよつまり、ニヒルちゃんもしかして寝取られた!?なんてこった!!」


 「そゆことー」


 「はっ、はふあーーっ!!」


 「何興奮してるですか気持ち悪い、お前寝取られモノは嫌いだっただろうが」


 「あ、当たり前じゃん!?あんなん好きな奴いる訳・・・いや、でもニヒルちゃんのアヘ堕ちってある意味興奮す」


 死ね。


 にしてもあの野郎ども命を何だと思ってるんだ?


 「なぁなぁレイノルドのあんちゃん、さっきから思ってたんだけどよぅ?赤ちゃんってどうやって出来るのぉ?あへってなにぃ?赤ちゃん産む時の顔の事言うの?」


 そしてタイミング良く大人しくしてた飯綱がこの話に興味を持った。どうしてくれる・・・


 「え、そりゃもう・・・ズッコンバッコンやって?」


 「?」


 「レイノルド、それ以上変な事言うとこの世から細胞の一片残さず消し飛ばすぞ・・・それより流石に許せないな、そんな理由で私は妊娠したのか、そしてその勝手な都合でこの子たちは産まれるのか」


 「堕ろす?」


 「馬鹿言うなです、この子たちの命は私が必ず守ってみせる。私の子には違いないですから」


 「そう言うと思った。安心して、あたしの腕は絶対だからさ。元気に産ませてあげるよ」


 八咫烏、不思議な子だ。こんな初対面であるにも関わらず、信頼感がすごいある。こいつになら任せられる。少々ムカつく性格をしてる事を除けばな。


 「出産の時期なら私に任せて、あなたがこの子を産む時間は二十年を待たずして産む事が出来る。けど、そこからが大変よ。今世界の時間は止まってるけどあなたに残される時間はそう長くは無い。産んだら二十四時間以内に元凶を止め異世界に飛びなさい、それが私の限界ですから」


 成る程、そりゃ大変だな・・・けどやるしか無い。


 



 現在


 「ご覧の通りです、私はもう万全だ。さて、喧嘩なら買うですよ、国連のお偉様方?ま、この喧嘩売るならそれなりの覚悟するですね。ガキ大将舐めるなよ?私は結構嫌がらせ受けたら何倍にして返す主義ですからね、殺してやるなんて生優しい事はしない、社会的抹殺の方がお前たちにはおあつらえむきだな。さぁどうする?」


 私は顔の見えないやつに向かって言い放った。


 「あれ?なんかニヒルちゃん生き生きしてない?」


 『っ、貴様らが何をしようとも我々には通用しない・・・我々は秩序、世界のルールだ』


 「残念ですけど、私はこの世界に生まれてからあんたらみたいなルールは聞いたことないですね。むしろ私が教わったのは自分らしく生きろと教わりましたが?こんな人の人生を、幼き子を軽く踏み躙ってもいいなんてルール、私は知らないな。私はそんなルール知らないからどちらにしたって抗うですよ」


 『ちっ、調子に乗るな神の加護を受けた程度で我々の世界を壊させるか!!』


 「はぁ、やれやれ・・・どうやら喧嘩売る気満々ですね、私たちとの喧嘩代、そう安く無いですよ?ま、買わせていただくですか。せっかくだから久しぶりに身体を動かす事にするですか!!」


 私たちは前に進んだ。






 一方その頃、八咫烏のいる書庫。


 「あや〜かわいぃねぇ〜見てよクロちゃんぷにぷにのほっぺ」


 「人の子を勝手に弄ってはダメよ?特にあなたは変な事吹き込みかねない」


 「えー、そんな事ないよーねー?サナちゃんルナちゃん?」


 「ん?名前・・・まだ付けて無かったはずじゃ」


 「この名前はどう言う訳かレイノルドの奴が付けるのよね。ま、クロちゃんも見てなって。珍しくあいつのネーミングセンスが多少光るからさ。ってぎゃーー!!あたしの手にうんこぉぉっ!?ちょ!クロちゃん!おむつ買ってきて!!」


 「きゃっ!きゃっ!きゃっ!」

 「あいっ!あいうー!」


 「漏らしても泣かない、むしろ喜んでる?」


 「とんだいたずらっ子だねー!!って!それよりも早くー!おーむーつー!!」


 「はい、そこに広げておきましたよ」


 「サンキュー!!ってサナァァッ!!そんな所でゴロゴロしちゃめ!!ってルナもォォォ!?ってんぎゃん!!あたしの顔面におしっこかけないでーっ!!」


 『あうーあいあいーーっ!!』 


 「やっぱり悪魔の子だぁぁぁぁっー!」


 ニヒルやレイノルドたちが必死になって戦う頃、カラスちゃんこと八咫烏はイタズラ好きの双子のオムツ替えに悪戦苦闘していたのであった。

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