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創歴十九年 異世界最終戦争編 世界の意志

 創歴十九年 アダムス ニヒル アダムス


 私が向こう世界に戻る日が来た。一応世間にその事を公表した覚えは無いんだが、あいつら・・・そんなに来れば目立つに決まってるだろ・・・


 見送りに多くの仲間が詰めかけた。四精霊たちに四神もだ。


 「やれやれ、全員仕事はどうしたです?」


 「次会えるのは出産後なんじゃ、見送りぐらい良いではないか。のぉウンディーネ!」


 「妾はニヒルもそうだが、メインはダーリンだ。次はいつ会えるのだ?」


 ウンディーネは共に元の世界に行く森羅をもの惜しそうに見つめていた。


 「ムテキザムライの撮影で禅の奴に会っておかなければならないのでな。そう案ずるな、こっち基準では数ヶ月で戻る。そうだ、良い物がある」


 「何だ?」


 「わたくしのセカンダビリティの未来を見る力の応用でな、未来の出来事を紙に写す『念写』が使えるようになったのだ。それでこれをお前に」


 森羅は何冊かの本を渡した。森羅の奴、そんな力まで使えるようになったのか。


 「む?これは何だ?絵がいっぱいだ・・・」


 私も少し見る、何だこれ漫画なのか?髪が蟹みたいな特徴的なキャラクターが描かれている。


 「これはわたくし達の世界で十年以上先で社会的現象を巻き起こす漫画らしい。わたくしも読んだが中々面白くてな、例によって完結までは見れないが、これだけでも人生の教訓や様々な生き方を学べる」


 森羅はウンディーネに本を渡し頭を撫でる。そう言えばこの二人の方の進展はどうなんだ?まぁ、これは父娘と言うより祖父孫の関係に見えるがな。


 「おう、元気でなー!」


 そしてシルフは普通に見送る。


 「おい犬、ダーリンのいない間お前で我慢してやる、抱き枕やれ、こいつを抱きながらこれを読もう」


 「んぎっ!?なんなん!?いきなり!」


 丁度居たからみたいな理由でウンディーネはシルフを掴んだ。むしろこっちの方が似合ってるな。


 「あ、またやってるやってる、いつ見てもおもしれーなシルフ!」


 「あ!白虎てめ!眺めてねーで助けろ!」


 白い青年は子供みたいにシルフの前にニコニコ笑顔で現れた。


 「やーだよ!俺としてもウンディーネはおっかねーもーん!ウンディーネちゃん!シルフは任せるよー!」


 「うむ」


 本来の白虎の性格はこんな感じの人懐っこいような明るい子という感じだ。


 「テメェらまたやってんのか。懲りねぇな・・・それにニヒル、まだいやがったのか。さっさと消えれば良いものを・・・」


 そして口の悪い朱雀に、


 「彼は恩人、恩人には敬意を表せ。貴様それでも四神か?」


 「俺は四神だが、テメェみてぇな武人じゃねぇ。恩に報いる精神なんてクソみてぇに邪魔なものはねぇよ」


 「貴様らしいな。済まぬなニヒル氏よ、朱雀の代わりに某から謝罪申し上げる」


 玄武のキャラはこういう感じだった。礼儀に重い奴だ。


 「にしても遅いわね、何してるのかしらあのお狐様一家」


 ウーネアは指をトントンさせながら飯綱たちを待っている。と言うのもあの家族がまだ来てない。まぁ元々玉藻は時間にルーズな性格だ。


 「あ、ディエゴだ」


 その話をしていて来たのはディエゴだ、昨日から桜蘭は彼に預けてある。ディエゴは桜蘭を連れてやって来た。


 「桜蘭、少しの間会えなくなるけど、良い子にしてるですよ?」


 「うん!おれいいこにしてるっすから!おかしゃんりんげつってのがんばるっす!」


 臨月って、どこで覚えた?桜蘭は無駄に語彙力があると言うか変な言葉を知ってるな・・・


 「ディエゴ、本当に済まないな」


 「いや構わないよ、彼の事は俺に任せてくれ。責任を持って守る」


 桜蘭は小さな手を振りながらディエゴに抱っこされる。


 それにしても遅いな・・・


 「すんまへーん!!遅れてもうたわ!」


 玉藻が大量の荷物を抱えて走って来た。


 「おーう!」


 飯綱は私の頭の上に乗る。


 「こら飯綱、ニヒルの頭に乗るな。赤ちゃんに悪影響出たらどうする?」


 「あ、ごめんちゃい」


 鞍馬は私の上に乗った飯綱を抱き抱える。


 「遅かったですね、何してたです?」


 「玉藻が土産を買いたいってな、旅館の客室に置きたいんだとさ」


 「ふふふっ、済まへんなぁ。ここの食べ物、向こう帰る時に検閲さえ通せばええって聞いてなぁ。ついつい」


 そうなのか、なら私も何か買えば良かったかな。意外と美味しいものも多いしなここ。


 「ん?稲荷は?」


 「あの子は前からあっちこっちにおるでなぁ、今日もどっかに行っとるんやない?」


 相変わらず自由な奴だな・・・


 「さて、みんな揃ったね。じゃ行こうか」


 私たちは出発する。でもその前に私は桜蘭に別れの言葉を告げた。


 「そう言えば桜蘭、前に向こう世界に行ってみたいって言ってたですね」


 「うん。でもおれはてきせーってのがあるかわかんないからいけないんっすよね?」


 「そう、でもいつかは行ける。向こうはここにはないものがいっぱいです。良いものもあれば、悪いものも沢山です。だから桜蘭にこれ渡すです、まだ読みにくいかもしれないですけど、桜蘭を産んでからずっと続けてた日記。これにはこの世界の事意外に向こうの世界の事もいっぱい書いた。今は、これで我慢してくれです」


 「わーい!おれ!これよんでみたかったっす!!いつもおかんがかいてるの!これでおかんをおもいだすっすね!」


 桜蘭は私の日記を嬉しそうに持った。この子絶対国語が得意になるな。


 「読めない漢字があったらディエゴに聞くです。勉強にもなって一石二鳥ですね」


 「これで完全に準備は出来たね、さぁ行こう」


 私たちは異世界間転移装置のあるセレスへと向かった。




 

 創歴十九年 セレス ニヒル アダムス


 「にしても本当ここは突然SFですね」


 異世界間転移装置『Another world』、近代化されたとは言え、まだ馬車が主流のこの世界の中に扉を開けると突然配線まみれの巨大な装置が飛び込んでくる。


 そして装置の下には人が入れるカプセルのようなものがあり、これに入り移動する、これが関節転移の方法となる。


 「ん?」


 森羅が足を止めた。


 「どうしたです?」


 「いや、今セカンダビリティが発動してな・・・一瞬過ぎて分からなかった。たまに起こるのだ、意図しない形で力が発動する事が」


 成る程、未来を見る力。メリットがある分デメリットも大き過ぎる。私の力も言ってしまえば常に発動してるとも言えるからな。たまに相手の精神が勝手に読み取れるようになる事がある。


 にしては、少し表情が厳しいな。何か変な物でも見えたのか?


 私たちは予定通りカプセルに入る。


 「うん、みんな入ったね」


 装置の稼働は永零が外から行い、向こうの世界でパヴァロフや今回は善之介が座標固定とかなんとかをやって転移するらしい。ま、詳しい事はあいつらにしか分からないがな。私はただこの装置に入れば良いだけだ。


 (・・・計画通りだ)


 ん?なんだ今の・・・計画?誰の声だ?聴いた事ない・・・


 「レイノルド、何か言ったです?」


 「ん?何が?あ、もしかして関節転移は初めてだからって緊張してる?何だったら俺が・・・」

 

 「うん、何もすんな」


 「しゅん・・・」


 レイノルドの声でもないな。


 「ウーネアは何か聞こえたです?」


 「私は何も聞いてないわよ?通信の声でも聞こえてたんじゃない?それこそ緊張してるからよきっと。お腹の子のこと心配してるならそれも大丈夫。関節転移は本当に何も感じないから。それとも私と一緒にいたい?」


 こっちも同じか・・・考え過ぎか?さっきの森羅・・・ん?森羅は、何処に行った?このカプセルにいたはず・・・


 何か変だ・・・それにさっきの声、あれは私の力だ。誰かの意志が聞こえたんだ。しかも、あの感じは悪意。


 「っ!!駄目だ!!転移を中止するです!!」


 一瞬、私は能力を最大限に使用した。通りで気付かない訳だ・・・この悪意の塊に。


 私が叫んだ瞬間に転移は始まった。視界が真っ白になり、そして次の瞬間には視界からカプセル内の景色は無くなっていた。目の前には無機質な壁と空間。


 「え、あれ?ここ何処だ?ウーネアちゃん?みんなは?」


 レイノルドは訳が分からないと言った感じで、辺りを見渡す。


 「レイノルド・・・どうやら私たちはまだ転移して無いですねこれ」


 「どう言う事?」


 「本当に私たちの世界は、意志を黙らせるのが好きみたいですね」


 『成る程、既に我々の計画は君に筒抜けか。ニヒル アダムス。流石は命の女神だったかね?を持つ物だ』


 聞き覚えなんかない声、私とこのマイクの向こうの奴、私は会った事も見た事も無い奴だ。


 「な、誰だテメェは!!」


 『答える必要はない。強いて言えば、世界の意志とでも言おうか?』


 「はぁ!?」


 『世界は君たち創始者達を危険と判断した、セカンダビリティ。その力は一個人が持つのはあまりに危険過ぎる。そう判断が下った』


 程のいい事をさらさら述べるのも得意な連中だ・・・


 「判断って、誰がいつそんな事決めた!?」


 「レイノルド少し落ち着くです、私が言ってやる。私たちの持つセカンダビリティは、世界の秩序を乱す恐れのある大変危険なものだ、だからその力は世に出してはいけない。だから私たちに選べ。その力を封印するか、もしくは死を選ぶか。ですよね国連さん?」


 奴は国連の重鎮の一人だ。そして微妙に言葉遣いに違いを感じる。日本人ではないな・・・この発音は、おそらくアジア系か?


 『その通りだ。セカンダビリティは世界の秩序を乱す。それはこの世界に持ってきてはいけないのだ。さぁ選びたまえ、選択肢は一つしかないと思うがな』


 「ふっ、選択肢が一つ?お前ら、ほんと愚かですね。お前たちの選択はそのどちらでもない筈だ。何故このタイミングでこんな事を行った?永零と私の接触がなくなり、後数ヶ月でビーストになるこの瞬間を。確かにお前たちはこの力を恐れている。しかし、惹かれているの方が強いんじゃないですか?お前たちは表面上の正義で私たちを止めようとした。しかし、その内側はどうです?答えようか、それぞれが私の、そして永零の力をどうにかして出し抜こうと考えている。結果お前たちは、この力が欲しいだけなんだよ。だから言わせてもらうです。私は、お前たちの選択に応じない。今です飯綱!!」


 「あいあい!!」


 私の後ろに隠れていた飯綱が周囲に炎を撒き散らかした。転移の前、飯綱はのそのそと私に乗ってきていたんだ。そして転移した。奴らの目的は私とレイノルドみたいだからな。


 「レイノルド!!」


 「あぁ!!ぶち破る!!」


 レイノルドの手から電撃が走り、手元に槍のような武器が現れる、それを振ると壁に穴が空いた。


 「逃げるですよ!」



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