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第四の到達点 歴史の特異点 伍 世界支配(全ての世界が今変わる)

 創歴元年 朱雀 ニヒル アダムス


 「くっ!!なんですか!?急に!!」


 外から何かが途轍もない速度でここに来た。瞬間移動とかじゃない。


 「よ、朱雀。相変わらず辛気臭い顔してるなお前はよ」


 この軽い喋り方・・・ん?


 土煙から二人の影が歩いて来た。一人は白く尖った髪の男、そしてもう一人は狐の仮面をした男だ。


 「テメェ、白虎か?」


 何だこいつ、こいつ何かが違う。これは四神の感覚じゃない、青龍も朱雀も、この二人からは同じ感覚がしていた。神の風格とでも言うのだろうか。そして四精霊にも似た特有の感覚を感じてたんだ。けど、この男は違う。


 でも私は知ってる、この感覚を何処かで・・・


 「よ、ニヒル、初めましてだな。俺は白虎。四神の一人だ、よろしく」


 白虎は気さくな感じで手を出した。


 「どうも」


 私は言葉を返しただけで手は取らなかった。こいつの手、触れるのはなんか嫌だ。


 「おい、白虎。いや、テメェは本当に白虎か?」


 朱雀も感じている、この違和感。やはりそうなんだ、こいつは白虎であってそうじゃない。


 「ニヒルちゃん・・・」


 その時レイノルドがいつになく本気の目つきで私の隣に立った。


 「どうしたです?」


 「あいつは、あの男は・・・俺だ」


 レイノルドはそれしか言わなかった。そして全てが理解出来た。こいつは・・・仮面の男だ。


 「ふっ、なんだよ。お前案外鋭くなったな、そうだ俺だ。言うなら久しぶりの方が正しかったな、ニヒルちゃん」


 「・・・おい、お前!!お前、何でそいつの中にいる!?お前の身体は作れないんじゃないのか!?」


 「一体どう言うことよ・・・」


 レイノルドとウーネアが私を庇うように前に出て仮面の男に問いかける。


 「お前らに用は無いんだよ。いや、後で用事はあるか。でも今最優先はニヒルちゃんだ」


 「順番なんか知るか!!質問に答えろ!!」


 「そうよ!お姉さまに何する気!?」


 「おいおい、順番飛ばしは良くないぞ?ま、どのみちこの事は教えることになるんだから、まいっか。そもそも四精霊、四神は神の奴が向こうの世界の神々をこの世界に持ってきた奴らの事を言う。それらは神の所有物なんだよ。つまり、神に最も近い俺はそいつらを俺の精神を入れる義体には十分って事だ」


 この会話は私は詳しくは分からないが、ともかく仮面の男は白虎の身体を乗っ取っていると言う事か。しかし永零の奴がそんな真似を許すのか?


 「おい、仮面野郎、テメェが俺らより上だと?」


 「そうだぜ朱雀、そろそろ俺の正体を明かしても良いかな?俺は光だ、光の支配者・・・知ってるか?神が一番最初に創り出したのは何か、光だ。俺はその光を司る」


 「っ!!」


 「朱雀、もう解ったか?お前と俺とじゃ立ってる次元か違うんだよ」


 朱雀が表情を変えた。光が何だって言うんだ?仮面の男は私に近づいてくる。


 「こ、これ以上行かせるかよ!!」


 そしてレイノルドは私とそしてウーネアの前に立ち塞がる。


 「レイノルド、お前が一番俺を良く解ってるだろ?お前程度が、俺に勝てる訳無いだろ」


 「っ・・・」


 ムカ・・・


 「おい、そろそろその口を閉じるです。確かにレイノルドは情け無い男だ。でも、それでもこいつは今、必死にそれを越えようとしてる。常に自分の成長を目指す奴を貶す奴は、お前が誰だろうと許さないですよ?」


 いい加減ムカついたから言ってやった。レイノルドは本当は強い男だと知れ。


 「そうね、マンモーニのレイノルドと言えどもこいつはお姉さまが認めた男よ?」


 「ふっ、だからお前らは弱いのさ。さて、話は終わりだ。後は順番通りに行くぜ、ニヒル。永零が呼んでるから行け」


 えっ


 今何が起きたのか、理解を超えた。今のは、仮面の男の単純な速さなのか。目の前に立っていた。そして私の視界が真っ白になったと思ったら、目の前には別の光景が広がっていた。


 仮面の男は消え、代わりに別の人たちがいた。


 「ニヒル?」

 「ディエゴ?」


 目の前にいたのはディエゴだ。いや、それだけじゃない。


 「な、何が起こったんじゃ?」

 「あやつ、一体何をしおった」


 サラマンダーにウンディーネ、他にシルフにノームまで。四精霊が全員、それに。


 「やぁ、突然ごめんね。急に呼んじゃって。でも、ここで終わりだよ。ニヒルさん」


 慌てふためく中、落ち着いた声が響く。何もかもを理解しているようなこの声・・・




 「指宿 永零・・・」




 奥に立っていたのは、永零だった。




 同時刻 朱雀 レイノルド


 「お姉さま!!」


 ウーネアが手を出したが、その直前でニヒルちゃんが消えた。


 「てめぇ!ニヒルちゃんを何処にやった!?」


 「あいつは永零の所だ。何を怒ってる?あいつは永零を探していたんだろ?」


 「そりゃちゃいますよ?ニヒルはんは永零はんと一緒におる言う飯綱を探しとったんやで?」


 玉藻さんがフォロー入ってくれた。


 「そう言えばそうだったな、まぁどうでもいいか。さて、やるべき事はここから。狐君、やるぞ」


 狐の仮面を付けた男が、仮面の男の横に並んだ。


 「・・・ところでな?一つ聞きたいんやけど、狐が狐の仮面付けはって何しとるん?稲荷?」


 ん?あー、あ!あいつってあいつか!!


 「えっ!?かぁちゃん一発で分かったんかぁ!?」


 「へ?そんな変なことしよるんはあんたしかあらへんやん?」


 「はへぇ、流石だっぺ。流石に今回おらもあんまし顔見られたくなかったんに、一発でバレてまったべ」


 「・・・稲荷、お前。顔を見られたく無いとはどう言うことだ?」


 俺もそこが引っかかってた。こいつら、何をしでかすつもりだ?


 「そりゃ決まってんべ」

 「俺たちの任務は」

 「あんたらの」


 『()()()


 空気がさっきまでの冗談な感じじゃなくなった。こいつらは、俺たちを殺しに来た。


 「・・・そう言うことか、あんたゾロアスちゃんだったよな?あんたもこれを見越してたのか?」


 俺はゾロアスちゃんに尋ねた。


 「あぁ、これこそが永零の到達点の最終段階。大切な者の死だ。永零はニヒルに選択させる、これでも死を受け入れるのか。それとも不老不死を求めるのか。どちらを選ぶかだ」


 「それで?君はその様子を見に来たって訳?」


 ウーネアが突っかかるようにゾロアスちゃんに言葉を浴びせた。


 「いや、逆だ。反抗するためにここに来た。元々のこの世界の神は私だ。それを好き勝手これ以上やられるのは我慢ならん。しかし、今の私に戦う為の力は無い。せいぜい幻覚ぐらいだ。だから助っ人を呼んだ、けど、まだ来れないみたいだな」


 「じゃあクロノスちゃんは?」


 「私は事の顛末を見届けるだけよ、そのためにここにいる。この状況でどう足掻くのか採点させてもらうわ」


 成る程、この二人がここにいる理由はそれか。そして俺のすべき事は分かった。


 「助っ人だと?この俺に勝てる見込みのある奴がいると言うのか?ゾロアス」


 「まぁな。勝てるかどうかは分からないが、お前でも苦戦するのは絶対だ」


 ゾロアスちゃんは仮面の男たちを睨んだ。


 「なぁる程ねえ、って事はよぉ?おらたちはその助っ人が来る前にこいつら殺さなきゃなんねぇって事でええべか?」


 そうなるよな。


 「分かった!やるぜウーネアちゃん!!ゾロアスちゃんが助っ人を呼んでくれてるのは良いけどよ!それじゃ格好つかないよな!やっぱ、俺たちがこいつらぶっ倒した方がカッコいいよな!?」


 「そうね、たまにはいい事言うじゃ無いあんたも。ここで負けるようじゃお姉さまの妹失格よ」


 「それに、うちの息子が粗相しでかしとるみたいやでなぁ。流石のうちも本気で堪忍袋の緒が切れてまうわ。うちも少し本気で怒らなあかんな。な?鞍馬はん?」


 「あぁ、娘の前に息子をどうやら躾なければならなさそうだ」


 四人で臨戦体制だ。確かに相手は俺だ、奴の強さは俺が一番良く知ってる。だからこそ、俺はお前を超えなければいけないんだ!




 ??? ニヒル アダムス


 「永零、突然何の用です?今まで散々周りくどく私に試練なんてものをさせておいて、いきなり合格です?」


 「半分正解だね。正直、ここまでさせるのは僕の予想を大幅に超える結果だったよ。君が僕の神のもう一つを持っている事も、君自身がその神を超える精神を持っていることも、僕には予測できなかった」


 言ってる事の割には顔が驚いてないけどな。


 「で?永零、私はどちらかと言うと周りくどく話されるのは嫌いです。そろそろ話してもらうですよ?お前ならもう分かってるですよね。私の聞きたいことが」


 「うん、答えるよ。出来るだけ手短にね。僕の求める最終的な答えは、新たなる神の選出。今ある神を消して新たな神を作る」


 「神を作る?永零、自惚れたですか?かつて出会った頃のお前はそんな自惚れた事を言うお前では無かった。何がお前を変えたです?」


 「これは自惚れじゃないよ。それに今も神の存在は憎くて仕方がない。消さなければならないって思うよ。けどね、一度は作り出さなければならないんだよ。ねぇ、僕たちの世界が何であんなにも醜く映るのか、考えた事ある?」


 永零は私に向かって語りかけるように質問した。


 「答えを見失ったから」


 私の答えはこれだ。私たちの世界は平和への答えを見失い、今は最早探すことすら諦めている。


 「それも半分正解だよ、答えは神にあったんだ。僕らの世界は色んな宗教、宗派、崇める神が多くある。ある人は偶像を崇め、ある人は神の代弁者となり、それらを信仰する。けどそこには思いはあっても、結局神は目に見えはしない。そして僕らは思うんだ。こうであって欲しいと言う欲望を神に見立てる。だから僕らはこうあっていて欲しい欲望の為に他者を犠牲にする道を選んだ。


 一方でこの世界はどう?そこにいる朱雀君や四精霊のみんな、目に見える神がいる。そして僕の作り上げたこのセレスに犯罪は存在しない。常に見てるからわかるんだ。見えてなくても見えている。不完全な僕らを本当の平和に導くのに必要なのは恐怖なんだよ。圧倒的じゃなくていい。ほんのちょっとだけで良いんだ。そのほんのちょっとの恐怖だけで世界は大きく変わる。『お天道様が見ているよ』って言うふうにね」


 こいつは、そのために・・・


 「永零お前、この街の全てを見ているって言ったですよね。どうやってそんな事出来るです?私でもこの世界全ての心なんて読めない」


 「神の力を完全に御した僕なら、そして君なら可能だよ。まぁ確かに今はまだそこの領域に達してないけど、そこは技術で補えば良いのさ。ディエゴの作ってくれたアウロは非常に役に立ったよ。国連のデータベースにも入りたい放題だしね。世界情勢を一気に把握できたのは嬉しい誤算だったよ」


 ディエゴの読み通りか、アウロとか言う組織は既に永零の手の内。


 「成る程、ガイアの資金か・・・」


 ディエゴがボソッと呟いた。ガイア?


 「そ、アウロの資金の大元はほとんど彼女から出てる。ディエゴ君、君には本当に感謝してるんだ。君がこの世界と国連にパイプを繋いでくれたおかげで、ガイアとのパイプも生まれた。君無くしては僕の計画は中々難しかったな」

 

 永零、この男は全てを利用して自分の望む世界を作ろうとしてる。


 そして厄介なのは全てを利用するが、この男は犠牲には絶対にさせる気は無い。本当に全てに救いをもたらすための行動をしている。


 「おっと、こんな話じゃなかったよね、君たちのことだよ。僕の計画の最後は僕と君たち、僕らは世界の新たな神になる。目に見える神の誕生だよ」


 私は永零の放った言葉に言葉をしばらく失った。違いすぎる。この男、何もかも見失ってしまったのか?


 「指宿 永零君、それが君の平和だと言うか?」


 「そうだよディエゴ君、だから君らをここに呼んだんだ。新たな神の器たる君たちをね。かつての神の物語はここで終わるのさ・・・」


 なんだと?今、永零はなんて言いやがった?神の物語は終わる?だとしたら、ウーネアに玉藻や鞍馬は・・・レイノルドは?そして、飯綱は?


 「永零、お前・・・飯綱は今、何してるです?」


 「そうだね、あの子もそろそろ用済みかな?」


 私は今何をしてるのか分からない、多分永零に切り掛かっているんだろうな。無意識に怒りだけがこの男への殺意となって刀を振るわせる。


 「怒っちゃったね、まぁ仕方ないよ。でも、君が目指した世界とはこう言う事なんだよ。理不尽に奪われる。何もかもが理不尽な世界。それは君が一番良く知ってるでしょ?」


 聞こえない・・・聞こえてたまるか。その理不尽は認めない!!


 『ガシッ』


 誰かが肩を掴んで止めた。ディエゴと朱雀だ。


 「何するです・・・離せ」


 「挑発に乗るなニヒル アダムス君。奴がここにこうして現れた時点で予測は出来ていた事だ。気持ちを抑えろ」


 「テメェ、自分でほざいたくせによく言うな。聞く耳を持たないテメェに言葉を語る資格なんかネェよ」


 朱雀の言葉で冷静になった。あいつからまだ殺したと言う言葉を聞いていない。今、現在進行形なんだ。そしてきっと、レイノルドたちは仮面の男たちと戦っている。


 そして飯綱もまだ大丈夫なんだ・・・


 「二人ともありがとうね、ニヒルさんを止めてくれて。君の言いたい事は分かるよ?僕は神が嫌いだ。僕の望む世界は今でも神なんてものを必要としない世界を求めてる。でも、世界と言う基盤とそこに住む存在がある以上、神と言うシステムは必要なんだ。誰かがその役割をやらなきゃいけない。だからこそ僕は君たちにお願いしたいんだ。限りなく神に近い力と精神を持ちながら、人間らしい存在である君たちをね。中でも命の女神の力は世界の平和に絶対必要になるんだ」


 「永零、お前は何故そこまでして不老不死による平和を望むです?どうして人間らしく生きる選択を嫌うですか?私はそれが分からない。リリアの時もそうです。あの子はこの世界を必死に生き抜いた上で身体の限界である死を受け入れた。なのにお前はそれらの強い遺志を踏み躙ってまで生きる事にしがみつく。その理由が私には見えない!」


 今でも永零の中から凄まじい怒りがあるのは感じる。けど、それ以上に恐怖が永零を包んでる。失うのが怖いから?奪うのが怖いから?そんなんじゃ無い。


 永零の恐怖はもっと違うんだ・・・


 「理由か。言うなれば僕は知りすぎてるからかもね。世界が、人間が作られた真実を知った時。僕はもう分からなくなった。人間って生き物はね、神が気まぐれで作ったものなんだ。世界で最も賢く美しく醜い存在。神はそんな存在をこの世界に作り出した、そして知りたかったんだ。その醜い欲望は神の示さない道をどう行くのかを見たかったんだ。僕らは神のおもちゃなんだよ。この世界もあの世界も、全部あいつが気まぐれで作った世界なんだ。


 神を失った世界で見た世界は君はよく知ってるでしょ?何も伝えられない、全てが欲望の中に沈む。何もかもを見失う。レイノルドが神と戦争したのも頷けるよ。だから僕はこんな神の世界を壊したい。いや、壊さなきゃダメなんだ。誰がなんと言っても、どんなに素晴らしい遺志がそこにあっても、それは結局神の暇つぶし。


 だから僕はかつて神が与えた力を持つ者を集めた。世界中に存在する様々な神々と言うのはこの僕の神から力を与えられた存在なんだよ。例えば天照大神やゼウス、ラー、ミカエルなんかもかつてその神に力を与えられた存在。そう、ニヒルさんやディエゴ君の持つセカンダビリティと言うのは神に与えられた二番目の力の事を指すんだ。


 それで僕は今集めているのさ、かつての神が与えたセカンダビリティをここに還元する為にね。そして僕らはそれらの力を封じる。そして僕ら人間は反旗を翻し、人間は神の暇つぶしで生まれた不完全な存在じゃなく、不老不死の力を持った完全な命になる」


 ようやく初めて永零の心を理解した。いや、理解までには及んで無い。こいつは自分の神を意識し、認識している。そしてその神の作り上げた世界を知った。


 永零の恐怖とは、自分自身に対する恐怖なんだ。間違った世界を示した神に争う術をずっともがき苦しみながら探し続けている。誰にも頼れず一人だけで・・・


 「僕は何としても、どんな事があっても奴の世界を変える。その為には君たちが必要なんだ。君たちには酷いことをしてると思ってる。けど勝手なお願いだ。僕に力を貸してくれ。僕は何としてでもこの世界の全てを平和にしなければいけないんだ」


 この男は、何があってもこの神の作ったこの世界を壊したい。それがあの原動力か・・・


 永零は私に頭を下げ、手を出す。


 私は考えていた。そしてここにいるみんなも考えている。何故神はその間違った世界を示したのか。


 永零も知り得ない所に答えはあるのかもしれないと。神はもしかしたら、神の示す正しい道じゃなく、あえて間違えた道を示したのではないか?


 その理由なんかは分からない。けど、この世界に来て見た出来事や経験、思想を覚悟、意志を見てそう思った。間違いだらけの私たち人間にはその間違いの中に輝ける精神があった。平和を願い突き進む美しく強い精神が。


 神では到達出来ないその醜いからこそ生まれる精神の先を私たちに課したんだ。


 「永零、お前の気持ちはよく分かったです。お前がどれだけ強い意志を持っていたのか。その怒りの理由が、やっと分かった。でも、それでも私はその神の示した間違いの先を見る。理不尽かもしれない、そもそもその考えがおかしいなかもしれない。けど、私には私に命を懸けてくれた意志を蔑ろにする事は出来ない!!」


 「・・・なんとなく、分かってたよ。君の持つ神の意志は僕の神と相反する。そういう風になってるんだからね。でも僕は諦めない。君は絶対に僕と共に歩んでくれる、そこに到達点するんだから」


 成る程、到達点か。でもな永零、お前が定めたその景色の見ている先は同じ方向を向いていたとしても、そこはお前の今望む姿とは限らないからな。


 「さて、とりあえずは勝負の決着をつけようか。僕はもうこれ以上逃げも隠れもしない。全ての準備は整った。後はここだけだ」


 「一人で戦う気か?」


 朱雀は腕を組みながら永零を睨む。ここには朱雀以外には四精霊にディエゴがいる。


 「流石に武が悪いよね。だから助っ人を呼んである。おいで、ウラヌス」


 永零が呼んだ奥から誰かが現れた。屈強なガタイのこの男がウラヌス。


 「玄武だと・・・永零 テメェ、こいつも」


 「流石に気づくのが早いね朱雀さん。そう、その身体は玄武。でもその精神はウラヌス。僕はウラヌスをこの世界に転生させたんだ。今のところ神の力を発揮出来る義体は四神くらいしかなかったんだ。でも安心して、玄武の精神は保存してあるから。ふふ、この力、僕はもう神に等しい力を手にしてしまったね。なら後は超えてやるさ。そして僕はこの神を殺してやる」


 「成る程神か。なら、お前が神と言うのなら・・・私は、それに抗う悪魔だ」

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