表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/92

創歴元年 異世界建国編 朱雀その1

 ここはエイドの南、私たちは朱雀の領土へと踏み入れた。


 「ここら辺はえらいあったかいんやなぁ」


 「朱雀の領土は温暖地域から熱帯を占めてんだ。んで朱雀のいる首都は常に気温が二十度台後半で過ごしやすいのよ。だから青龍とか玄武とかと比べたらあそこは観光をメインに押し出してる。入り込むのは比較的簡単だと思うぜ」


 玉藻さんの疑問にレイノルドが得意げに語る。


 「観光地かぁ、ええなぁ。暇やったら見てまわろうかな〜」


 そして玉藻さんは安定にのんびりとしている。


 「朱雀と言えば、昔中国の方にもいたな。南方を司る火の鳥だ。奴との付き合いは無かったが四神の話は日本でも結構他の神々にも知られていた。ここの朱雀はあの時のあいつと同じなのか?」


 こっちは神様界隈の噂話だ。


 「鞍馬さん、私はここにいるシンという男から前に朱雀の事を少し聞いてるです、それで一つ質問があるです。ゾロアスって知ってるですか?」


 なら質問しよう、朱雀に関して知っておく事があれば対策が出来る。シンの力が朱雀と同じくらいなら、その上の神のような力の存在は鞍馬さんなら知ってるかもしれない。


 「ゾロアス?それは知らないな。考えられるとしたらそのゾロアスはこの世界独自の神かもしれないな、四精霊や四神については向こうにも記述とかが残っているが、ゾロアスに関しては噂も聞いたことがない」


 知らないか、としたら考えられるのはゾロアスはもしかしたら、この世界にとっての永零。もしかしたら、転生者がこの世界にいるかもしれないな。


 「ん、あんたちょい待ってぇな!」


 色々考えていたら玉藻さんが叫ぶように鞍馬さんを止めた。


 「うわっぷ!!」


 そしてその衝撃で後ろに乗っていたレイノルドの顔面が私の後頭部に直撃した。痛いなこのやろう・・・


 「どうした玉藻?」


 「ちょいとだけ待っててもろてぇえ?ここ、なんや違和感あるや思うてな・・・あ、ほらやっぱりや。この先結界が張られとるやんね」


 結界?全然分からないな・・・やはりその手の事は玉藻さんが一番か。


 「破れそうか?」


 「うーん、これかなり強力やんね。うちの力を遥かに超えとる。うちには破れそうにないや」


 私には何も見えないけどな。結界って玉藻さんにはどういう風に見えてるんだろうか。


 「無理矢理突破!!とか出来ねぇの?」


 「破るもなにも、そのまま進んだら永遠に迷ってまうだけや、入った瞬間アウトなんよ。ここで破らなきゃ。もしくは穴を見つけるしかあらへんな」


 結界と言ってもそういう感じか。無闇に進んでも駄目か。


 「なら、穴を見つればいいですか?」


 「せなんやけどな?この結界は大きすぎるかつかなり精密な作りなんよ。綻びを探すにはめっちゃ時間がかかってまうんや。早くても数週間や、そこまでは待てへんやろ?」


 個人的には数週間でもその結界の穴を見つけられる玉藻さんがすごいと思う。


 「それにしてもこの結界、朱雀はよほどよそ者を拒みたいと見える。玉藻、これは許可された存在ならば通過出来る結界だな?」


 鞍馬さんにもこの結界は見えてるみたいだ。


 「せや、やから一番早いここを抜ける方法は術者を見つける事が一番なんや。やねんけどな、その術者がこの中にいたらどうしようもあらへん。せめて外におればええねんけどなぁ」


 だったらどうしようか・・・


 「ねえお姉さんたち、その結界の先に行きたいの?」


 びっくりした・・・また後ろから声を・・・って、振り向いた瞬間その子は私の目と鼻の先にいた。


 「ひゃっ!?」


 あまりに近いから変な声が出たじゃないか。でもどうやってここに現れた?レイノルドも玉藻さんも鞍馬さんもすり抜け私の目の前まで。黒髪の中に赤い髪を持った少女は優しく笑うと鞍馬さんからひょいと飛び降りた。


 「難しいね、この結界は朱雀自身が張ってる結界。君も中々の術者みたいだけど、君の実力じゃ通れないよ」


 この子、玉藻さんの実力を見ただけで分かるのか?


 「せやねぇ、うちそんな強い妖怪やあらへんからなぁ。どないしたらええんやろうね」


 今馬鹿にされたと思うんだけど、玉藻さんは別に気にしてる様子は無い。


 「私ならこの結界に穴、開けられるよ」


 「朱雀の結界をか?お前、結界に穴を開ける意味をわかってるのか?」


 「勿論、結界が破れれば術者に即座に気付かれる。けど、破るには術者を凌ぐ実力を持った者じゃないと出来ない。でも、それを更に、遥かに凌ぐ術者なら、気づかれる事なく結界に同調して穴を開けられる」


 「あなた、えらい自信があるみたいやねぇ」


 「朱雀程度、私の足元にも及ばないよ」


 朱雀をそこまで見下せる存在・・・まさか。


 「お前、まさかゾロアス・・・ですか?」


 「ん?ご名答、私の名はゾロアス。この世界の本来の支配者だよ。ニヒル、あなたの事は知ってる、シンから聞いた」


 「シンから?ちょいと待つです。シンはゾロアスは死んでしまったと・・・」


 「私はシンの知るゾロアスじゃない。記憶はそのまま継承しているだけで別の存在だ」


 「まさか、永零の奴の義体?」


 「それでもないぞレイノルド。鞍馬、お前ならガイアの一族の宿命は知っているだろう?それと似たようなものだ。ゾロアスは後継者が誕生した時、先代の記憶、経験全てを引き継ぐ。私は訳あってシンの元から、この世界からしばらく存在を消していた。しかし、今また動き出す時が来た。私の使命は命の女神の誕生を見届ける事。この出来事は永零も、クロノスも知らない、真の意味での特異点だ。


 ニヒル、決めるのはお前だ。私を使う気はないか?クロノスも永零も、既にある到達点を見据えて動いている。それに抗う気はあるか?まぁ、私を使っても運命が変わるかは分からないが、お前にとって一応私は味方だ」


 運命か、ここに来てから全部が全部永零の思い通りに動いているのは正直癪に障る。だからと言ってこいつの口車に乗るのもどうかと思うな。


 「ゾロアス、一つ聞きたい。何で私に強力をしたいと言ったです?」


 少しだけ探ろう。シンの言っていたゾロアスは女神のような存在、懐に何か隠してそうな奴じゃない。


 「面白そうだからかな。残念だけど、私はシンの思い描くほど素晴らしい奴じゃない。私がカミの心を持った存在だとしてもそのカミは別に全ての命を愛するような慈愛に満ちた存在なんかじゃない。言うなれば私は悪魔かな?カミのその力と心は人間を魅了し、そして人間はカミを祭りあげた。カミはそれが見たかっただけなの、自分に悩みすがって生きる。悩んでいるから人間は面白いんだってね。正直私もそう、悩んでいる人間は面白い。でも、永零の世界には悩みはない。全て答えは用意されている。それってつまらないでしょ?だから私はあなたに協力する。ね、私、とっても悪い子でしょ?」


 「うわ、こいつとんでもねーガキだな」


 レイノルドは引いている。私も少し驚いた。しかし、逆にここまで来るとある意味清々しいな。ゾロアスは本音で語ってくれたみたいだ。と言うよりあえて嘘は付かず本音を私に語った感じだ。


 「分かったですよ、ゾロアス。協力お願いするです」


 「ふぇっ!?」


 「レイノルド、嫌がっても私はゾロアスと行くですよ。元々私たちのやろうとしてる事は世間からしたら悪い事だ。不老不死なんて誰が聞いても欲しい技術だろ?私たちはそれを止めに来たと同じだ」


 私たちの最終目的は飯綱と会い、そして永零と勝負し、奴の計画の全ての命の不老不死を止めさせる事にある。


 「ありがと、じゃあ開けよう」


 ゾロアスは何もない場所に手をかざすと目の前の空間が歪んだ。その歪みの先にはこことは違う景色がある。


 「この先が朱雀の首都だ」


 「すんごいなぁ、こんな短時間で穴あけやるなんて。うち久しぶりに勉強せなあかんなと思うたわ」


 玉藻さんは目をキラキラさせてゾロアスの力を見ていた。


 「どうせ三日坊主だろ?」


 そこに鞍馬さんのツッコミが入る。

 

 「ふふっ、ばれてもうた?」


 「朱雀か、俺もなんだかんだ初めてなんだよな来るの。どんなかんじなんだ?」


 レイノルドは夫婦漫才をよそに先を見ていた。私も見る、そして入った。


 中はかなり発展した街だった。多くの馬車が行き交い、俗に言うマルシェのような出店も多く立ち並ぶ。


 「ここは朱雀の居城、ここで生活出来る人間は朱雀に認められ、この街に入る事を許可された奴ら。観光にしたって朱雀の許可がなければここの観光は出来ない」


 ここは随分とセキュリティが厳しいんだな、私たちの世界以上の警備。そこまでして立ち入りを制限する理由は、ここには何かがあるのか?


 「でも、入ってしまえばこちらのものみたいですね」


 「うん、外からの侵入はかなり厳しい。けど中に入ればもうこっちのもの。さ、ついてきて。朱雀の元まで案内してあげる」


 私たちはゾロアスに連れられて街の中を進んだ。そしてたどり着いた。ここに朱雀とウーネアがいる。沙羅曼蛇と同じような作りの城。成る程、沙羅曼蛇と肩を並べるという事は同時に似た者同士か?


 そしてその先に朱雀はいた。


 「こんな形で失礼しますですね朱雀さん。早速で悪いですけどウーネアはどこです?それとクロノスも」


 朱雀は堂々と玉座に座っていた、そこに私が挨拶がてら質問した。ビジネスマナーがなってなくて済まないな。でもここには別にアポを取るとかの習慣はないだろ?


 「凄まじい速さで到着か。青龍の奴は前々からお前に心酔していたからな、大分甘かったか」


 朱雀は私を睨む、すごい目つきの悪さ、そして威圧感。その鋭い目で隣にいたレイノルドが腰を抜かした。


 それだけじゃない、鞍馬さんも玉藻さんも冷や汗をかいている。


 「どうにもね、ささっと終わらせたですよ。で、質問には答えてくれないですか?」


 「この俺を前にしてその堂々とした立ち振る舞いか、いささか滑稽だ。それより俺からも聞かせてもらおうか?その小娘は何者だ?」


 ゾロアスを知らない?私は彼女を見ると人差し指を立てて私に向けた。


 「偶然知り合った子ですよ、ここまでの道を教えてくれただけです」


 イタズラ小僧の考えはよくわかる。ゾロアスは既に朱雀で遊ぼうとしている。


 「ふっ、まぁいい。貴様に与える答えは一つだけだ。死ね」

 

 っ!!


 少し迂闊だった。既に朱雀は攻撃の準備に入っていた。この殺気はやはり本物か、奴は私を殺したいと願っている。朱雀は見えないが、とてつもない高温の熱波を私たちに放っていた。けど、


 「助かったですよ鞍馬さん」


 「お安い御用だ、俺は炎、熱の動きには敏感だ」


 鞍馬さんは同じように熱波を放ち相殺していた。


 「ふん、俺の攻撃を止めたか・・・てめぇら、この俺を怒らせる覚悟は出来ただろうな?」


 「やれやれ、覚悟よりも私そんなにお前に嫌われる事したですかね」


 私は刀を抜いた、とりあえずこいつをまず何とかしなきゃ駄目だな。


 「まず消しカスになりてぇのはてめぇからか?ニヒル アダムス」


 「は、はいはい!俺!俺もいるって!!」


 隣にレイノルドがしゃしゃり出て来た。


 「玉藻とお嬢さんは下がってろ。ここは俺とニヒル、レイノルドで戦おう」


 「と言う訳です。卑怯とは言わせませんですよ?ここまで散々たらい回しにあったお返しです」


 「ぷっ・・・ブッハッハッ!!この俺とやり合うのに三人で卑怯と言いてぇのか?どうやら、テメェは消しカスじゃ足りなさそうだな・・・この世から影も残らず消し去ってやる、かかってきな」


 「朱雀、私からも一言言うです・・・やれるものならやってみろ!!」


 朱雀との戦いが始まった。

 

 


 

 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ