表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/92

1955年 6月 〜 1965年 4月

 創歴 ???年 


 や! 久しぶりの登場、カラスちゃんだよぉ!


 あたしたちの世界の1955年、5月から6月にかけた約半月程の出来事、こっちの世界では半年近くの時間が流れたの。


 そして、戦いが起こった。んでその戦いはそのものが無かった事になってる。そもそも、創歴前って歴史上存在しないから、前って付けてるのよね。


 でも、この時から永零とニヒルちんたちとの確執は始まっていた。


 そして時代は移ろい、時は一回目の東京オリンピックの翌年、1965年。


 そして、創歴元年、再び異世界は動き出す・・・ってなわけで!オロ○ミンCでも飲んでもうちょい聞いてこうぜ!


 あ、レッド○ル持ってんのね。ノリ悪いのぉ。


 ・


 ・


 ・


 1965年 4月 ニヒル アダムス


 「以上、これが六十四年度下半期の業績になります」


 会議中、業績の方はまぁこんなものか。他の部署も去年の結果と同じくらいの業績だ。


 私は今名古屋から東京へ出張に来ている。それにしても新幹線とは凄い物が生まれたな、東京へ日帰り出張が可能になった。寝台を使っていた頃が嘘のようだ。

 

 この国は今急成長を遂げている、とてつもない速度で、世界が驚く速さで。


 私もまだまだだ、まだ我が社は伸びる。今年の上半期の業績はもっと行けるはず。その為にはやはり、研修の徹底か。これまでは勢いだけで進んで来たが、その勢いに後ろの者はついてくる事は出来ない。私たちだけが先走ってはいけない。


 研修のカリキュラムを見直すか。それに、これからの時代男手だけでなく女性の社会進出も必要だ。私だけではどうにもならん、その分担も考えなければ・・・


 「以上で会議を終了します」


 会議は終了した。後は名古屋に帰るだけか。


 「いゃ〜やっと終わりましたねぇ〜、ニヒル部長、お疲れ様です〜、はい」


 出張には部下を二人ほど連れてきた。佐藤と田中だ。幹部候補と言ったところだが、正直上司のご機嫌取りばかりしか出来ない。今日の会議ちゃんと聞いてたのか?


 田中は私の肩を揉んだ、そこ違う、ズレてるぞ。


 「佐藤、お前はどう思ったです?関西支部の業績の伸び具合をどう見る?」

  

 「え、あー。ありゃ絶対盛ってるっしょ、伸びすぎやんかあれ」


 「田中は?」


 「えー、道山取り締まり役の経営手腕は、凄いと思いますね、はい」


 なんだその感想文。小学生以下か?やはり、研修を徹底だな。他の幹部候補もやり直しだなこれ。


 「やれやれ、まぁいいです・・・」


 「あれ、部長?何か怒ってます?」


 怒ってます、お前たちにな。


 「よ、ニヒル。もう帰んのか?」


 噂をすれば何とやらだ。


 「あ、隆二。久しぶりです」


 「久しぶりなのに随分ご無沙汰な返しだなおい。にしても、お前全然老けないな」


 「何ですかそれ、新しい口説き文句です?」


 「勘弁してくれ、お前みたいなガキ大将は願い下げだ。俺はもっと大和撫子みたいなのがいいの。てか、その眼鏡、まだ持ってんの?」


 隆二は私のかけてる眼鏡を指差した。


 「これは、私のやる気の源です、新たな時代が作られていく様を将校さんがくれたこれで見たいだけです」


 「ふーん。あ、善之介には会ったか?」


 「いや?会議にはいたですけど、別に今日会う必要はないでしょ?私帰ったらまだ仕事あるですし」


 別に電話でちょくちょく話してるからな。


 「お前なぁ、会える時に会っとけよ?古い友人同士なんだし、友達無くすぜ?」


 「そうですか?」


 「そりゃそうだ。前にも半月位行方不明になった事あったろ。俺たちめっちゃ探したんだぜ?と思ったら、連絡なしにしばらくの間海外出張だったなんてよ、心配して損したぜ」


 「ぐぬ、あれは部下が連絡してなかったのが悪いです!」


 「部下のせいにすんない、ともかくそんなんで次居なくなったら探してやんねぇぞ?決めた!ニヒル、今日は飲もうぜ!?佐藤たちもどうだ?」


 「え、仕事が・・・」


 「そんなん後後!ワーカホリックは身を滅ぼすぜ?善之介も呼ぶからよ!」


 「・・・」


 隆二はその気さくな性格からか信用が厚い、結果部署を超えての飲み会をよく主催してる。私も見習うべきか。部下とのコミュニケーションというやつか。




 そんなこんなで東京駅に向かうはずが、新宿に来てしまった。あまりここの空気は好きじゃないんだが・・・なんか、ピンクだ。


 まぁ良い、酔いすぎない程度に飲むか。たまには・・・


 「っしゃ!てな訳でかんぱーい!」


 もうみんな集まる前からちょくちょく飲んでた隆二は出来上がってる。


 「あーあ、隆二相変わらずだなぁ」


 「ですね善之介。あ、そうだこの際だから聞いておくです。隆二の関西支部の業績、やけに良かったですよね。何か知ってるですか?」


 「え、隆二に直接聞いてないの?」

 

 「一応はライバルなんでね、あいつに聞いたら負けな気がしたです」


 「そういうとこ昔から頑固だよねニヒルって。まぁいいけど、でもそれに詳しいのはニヒルかと思ってたよ。本社の方で最近、海外進出に向けてあるグループと業務提携したって聞いたけど」


 「あぁ、ガイアグループとか言うやつですね。とりあえず中国の企業らしいです。まだ駆け出しの企業ですけど、向こうも日本への進出を望んでたから将校さんがそこに目をつけたです・・・まさか隆二。もう既にそこと何か契約でもしたのか?」


 「噂じゃそうかもね、意外と彼食えないとこあるからね。大阪行って商人(あきんど)根性が根付いてるみたい」


 成程ね、金の匂い嗅ぎつけてたのか。隆二は割とそう言う匂いに敏感だったからな。戦後の頃、あいつは余裕のある家庭を見極めるのが上手く、値段交渉はあいつの専売特許だった。


 今もそれを遺憾なく発揮してるのか。



 



 「さて!二軒目行く人ー!」


 やれやれ、こいつの経営手腕には恐れ入ったよ。二次会付き合うか。

 

 「あ!俺良い店知ってます!前に出張来た時に来たイタリア料理店です!あそこのピザめっちゃ美味しいんですよ!」


 佐藤のおすすめの店?しかも出張で?この野郎、前に来た時サボってたな?


 「え!?俺ピザ好きなんだよ!そこ行こうぜ!」


 佐藤、後で締めるからな。


 


 「はい!いらっしゃいませ!」


 店の雰囲気、二次会で来るようなとこじゃ無いな。小洒落た雰囲気だ。店員も・・・あれ?この男どっかで見たような・・・


 「おや、随分と賑やかな方が来たわねって・・・あら?お姉さまじゃない」


 「うん?あ、まさかウーネアですか?」


 髪の長い女性がいた、この女は。


 「おっ久しぶりー!!会いたかったわ!かれこれ十年ぶりかしら!」


 女は私に抱きついた。相変わらずのスキンシップ・・・


 「あ、そんなに経つですか?」


 店には意外な人物がいた、ウーネア アダムス。昔生き別れた妹だ。最初は私の職場に来て、次に会ったのは出張でフランスに行っていた時だったな。


 「あ!この人が前ニヒルが話してた妹のウーネア!?俺、道山 隆二って言います!にしても、ニヒルと違って凄い身長大きいですね・・・」

 

 「でも、胸のサイズはお姉さまの方が大きいわよ。ね!」


 「ね、って言われても知らんですよ。それよりも、驚いたのはその髪どうしたです?伸ばした?」


 「まぁね、ちょっと訳あって髪切るのをやめる事にしたの。でもくるんくるんでさ、ストパーかけたの。おかげで今はストレート金髪ヘア!似合う?」


 似合うかどうかは私には分からん。にしても訳あって髪切るのをやめた。何の訳だ?


 「相変わらずですねウーネア。あ、店員さん。騒がしくしてすみませんです」


 「いいよいいよ、今日はもうどうせウーネアちゃんしか来てなかったしね、今日は特別貸切!じゃんじゃん注文してくれ!」


 こうして二次会が始まった。ピザ、というよりイタリアンと言うものは正直食べるのは初めてだ。


 「はいよ!ピッツァマルゲリータ!」


 ぴっ?まる?難しいな、イタリア語発音ってやつか。


 「あ、美味しい・・・」


 トマトってこう言う使い方も出来るのか、チーズは知っていたが、なんだこれは私はこんなものを知らない。トマトとチーズが見事に合わさっている。そしてこのパンみたいな生地。この歯応えあるもっちり食感がより味を引き立てる。これがピザというものか。


 (やった・・・ニヒルちゃんに褒められた・・・)


 「うん?」


 「いや!何でもないよ!次はパスタ作るからねー!」


 うーん、何だろ。あの男、なんで私の為に作った感じになってるんだ?このピザとか言うのはみんなで食べているんだが。


 「あ、そうだウーネア、そもそもなんでここにいるです?日本に何か用事です?」


 「そんなとこよ、私の経営するジュエリーショップが銀座に出店するの。その為の来日、それ終わってからお姉さまにサプライズで会いに行こうかな?って思ってたら、まさかの逆サプライズだったって訳。あ、ならサプライズのお礼あげようかしらね」


 ウーネアは鞄から小さな箱を取り出した。中には指輪、この石は何だろうか。ダイヤモンドとか言うやつか?恥ずかしながら、私はこう言う宝石には興味がないからな。


 「お姉さまも女性でしょ?こう言うのはレディの嗜みよ、付けてみて」


 うん、まぁ綺麗だな。


 「そうしていつもお淑やかなら尚良いんだけどな!」

  

 「そうですよ部長!」


 イラッ、あのお調子者どもめ・・・しかし、この淡く白いこの石も、どこかで・・・


 「とは言っても、これかなり高級品では?受け取れないですよこれ」


 私は指輪を突き返した、こう言うのはやっぱ身分相応の人が付けるべきだ。最近はスーツを着る事が多いが普段は作業着だぞ?そんな私にこれは似合わない。


 「いいの、私からのプレゼントなんだから、持ってて。なんなら左手の薬指にはめてていいわよー」


 「からかうなですよ。まぁ、そこまで言うなら貰っておくです」


 私はウーネアの指輪を箱にしまった。


 それからしばらく会話が弾み、そろそろお開きの時間になった。隆二は軟体動物のようにぐにゃぐにゃに酔いつぶれている。酒は飲んでも飲まれるな、私と善之介はそこまで飲まないから割と平気だが。


 「さてと、明日は始発の新幹線で帰るですよ。ほら、さっき宿に電話したですから、はい起きる!」


 今日中に名古屋に帰るのはもう無理だ。だからさっき店の電話で近くの宿を二部屋取った。私の部屋と、佐藤と田中。いくら私がストイックな性格と言われていても、こいつらと相部屋はごめんだ。


 「え、だったら私の泊まってるホテルに来れば良いじゃないのよ。一人じゃ広いしさ」


 案の定、ウーネアが私にホテルに来るよう提案してきた。


 「残念ですけど、また今度です。あくまで東京には仕事で来てるですから。それに、あの手のホテルとか言うのはどうにも合わないです。やっすい宿で十分!」


 「えー!部長ぉ、お言葉に甘えましょうよー」


 「そうですよ、はい」


 「甘い!そんなだからヘナチョコなんだ貴様ら。直ぐに楽しようとするな。楽したいのならその前に努力しろ。今日の会議、途中寝かかっていたの知ってるからな?」


 『ギクッ』


 二人とも綺麗に反応するな、やっぱり寝てたのか。


 こうして二次会はお開きになった。善之介は隆二を送ると言って分かれた。私は新宿から少し離れたやっすい宿に泊まった。


 ・


 ・


 ・


 「どうだった?二人とも、ニヒルさんとの再会は」


 一人の若い少年のような声が、新宿にあるとあるイタリア料理店の店の奥から聞こえてきた。


 「相変わらずね、記憶が変わっててもあの時と何も変わってない。お姉さまらしい強くて美しい目だったわ。それにしてもレイノルド!あからさまに反応し過ぎ!私の記憶支配は完璧じゃないんだから!思い出したらどうするのよ!大体、あんたの顔見ただけで反応してたんだから」


 「それ言うならあの指輪はダメだろ!アレこそきっかけになり得るぜ?ってか、俺の顔見て反応したってマジ?俺って結構なんだかんだ気に入られてたの!?」


 「いや、嫌われてたの間違いじゃない?あんたウザさはピカイチだからね」


 「ガーン!」


 「はい、喧嘩はそこまで。それにしても、まさかこんな形でまた彼女と手を結ぶ事になるなんてね」


 少年は二人の喧嘩を止め、本題に入った。


 「ほんとよ。最初聞いた時マジビックリしたんだから、なんでお姉さまがこんな仕事してんのよ」


 『因果というやつよ、彼女の時の流れは最初からあなたと共にある。同じ時の流れを進む者はいずれ惹かれ合う運命となる』


 「クロノス、いたの?」


 店にはまだ誰かがいた、成人した女性のような声。


 『貴女たちがここにいる間、向こうと時間の流れを同じにして欲しいってそいつに頼まれたからね。仕方ないから協力したのよ』


 「本当助かるよ、こっちに一日いただけで向こうに帰ると十日経ってるもんね。君を見つけられたのは本当にラッキーだったよ」


 『到達点の力なら、私を見つけるなど容易いわ。それより、あの男は信用出来るの?』


 「所長の事?今生きてる中で彼を一番知ってるのは僕だよ。大丈夫、彼もニヒルさんと同じ位に強い意志を持ってるから」


 「ふーん。んでもよ、あの所長とかいう奴。ニヒルちゃんの育ての親なんだろ?そんな奴が何で裏側でしか出回らないようなブツの流通を取り仕切ってんだ?」


 レイノルドが永零に向かって質問した。


 「あえてだと思うよ、そしてその事はニヒルさんは知らない。あくまで物流会社の社員として働いている。あの会社の設立の真の理由は日本に来る裏ルートの物流の監視、ニヒルさんがこの会社に入社する前は闇市を仕切ってたりしてたんだ。彼のモットーは、『蹴落とすな、引き上げろ』ってね。あの人上から目線なとこ多いけど、理不尽はとことん嫌うんだ。それで理不尽な流れを持つ闇のルートの監視をしてるんだよ」


 「成程、ならニヒルちゃんのあの性格って・・・」


 「所長さん譲りなとこもあるかもね、頑固で、負けず嫌い。けど正々堂々。


 それで、僕らは日本の裏の流通を仕切る彼と手を組みたいんだ。そうしなきゃこっちではろくに実験出来そうに無いからね。それに、僕も久しぶりに彼に会いたいし。驚くかな?僕が生きてる事も知らないからね所長さんは」


 永零はイタズラな笑みを浮かべた。












 『・・・ここまでは及第点よ、指宿 永零。貴方の力はまだ半分しか出せない。もう半分は彼女にある。まずはそこに到達して、そしてその力を本当の意味で引き出せたら、その時は合格をあげるわ。本来存在しない二人が同時に存在する唯一のこの時間軸なんだから、しくじらないでよ?もし、どちらかが死んだら、貴方の野望は永遠に潰える。そこに行き着いてしまったら、不合格ね』


 ・


 ・


 ・


 創歴 ???年


 記録に残らないリリア失踪事件から百年後の世界、創歴前二十年と西暦1965年。この世界はある到達点に向けて向こうの世界へと進んでいった。


 永零は到達点の力で時間の支配者、クロノスを探し出したの。神の転生者でそれを自覚し、この世界で覚()醒した。


 つまり永零の到達点は最早望んだことを現実にする能力と呼べる程になった。


 でも、そんな彼でも特異点は見つけられない。運命の因果は遥かな時の中で再び巡り会うの。

 

 これから話す歴史(ものがたり)は、支配を超える物語。そして、()を知る物語・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ