表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/92

創歴前 百年 セカンダビリティ編 その1

 創歴前 百年 沙羅曼蛇の国 ニヒル


 「・・・と言う事だね、とりあえず仮面の男の事で解ってるのはこれくらいかな」


 永零はとりあえず得た情報の共有をした。伝えたのは私たち異世界の覚醒者と四精霊の二人。しかし、神の事などは伝えていない。伝えたのはセカンダビリティがあると言う事と、それの受け渡しが可能である事。そしてそれを持っているのは恐らく私と永零、そしてリリアの三人だけと言う事。


 「それににしてもユルグがスパイなら早く言ってよね永零。血眼になって探すとこだったじゃない」


 ウーネアがムスッとした顔で永零を叱っている。


 「ごめんね、彼とはずっと別行動してたんだ。この世界の情報を得るにはスパイと言うのはどうしても外せなくてね。とりあえずもしも何かあった時の保険に彼はなってくれてるのさ。そして今がそのもしもの事態になってるんだけどね」


 「仮面の男、本当に何者なのだろうか・・・セカンダビリティと呼ばれる力、そして最上級魔法。永零、恐らくそいつはお前以上にこの世界を知っていると思って良いんだろうな?」


 森羅は仮面の男のことを考えていた。


 「そうだろうね、そして彼は僕を止めることが出来る。正直、邪神より厄介な奴が現れたのは間違いないよ」


 「でもよ、どうするんだ?どうやってそいつを探す?奴は滅多に姿を現さねぇ上に実力も半端じゃねぇんだろ?沙羅曼蛇が行方不明になった原因がもし奴なら、俺たちじゃ太刀打ち出来ねぇぜ?」


 そしてレイノルドはその仮面の男の対抗手段をどうするかを考えていた。


 「対抗する手段は一つだけだよ。僕らがその彼より強くなる事。ニヒルさんは最上級魔法が使える。僕はセカンダビリティが扱える。要はもっと磨くしか無い」


 「それは、リリアもって事か?」


 そしてディエゴはリリアにセカンダビリティがある事を考えていた。


 「その通りだよディエゴさん。それに、僕が一番重要視してるのはリリアさんだ。僕が今回の件で一番気になっているのは何故仮面の男はリリアさんに能力を与えたのか。僕の予想は仮面の男はリリアさんを使い何かをしようとしている。まぁ、それしかないよね。だからこそこの対抗手段なんだ。リリアさんの能力を、そして僕とニヒルさんの力を仮面の男の予測を超える程に鍛える」


 「んで、それはお前たち三人のみでやるのか?」


 「いや、これには君の協力が必要不可欠だ。君とリリアさんはほぼ一心同体と言って良い。正直に話すと今ここにその仮面の男が紛れ込んでる可能性はあるんだ。だから本来は僕とニヒルさん、リリアさんだけでやるのが一番。でも、リリアさんの傍には君が絶対にいなくちゃいけない」


 「へぇ、もしかしたら俺が仮面の男かもしれねぇのにか?」


 「いや、君は違う。もしそうならリリアはとっくに気がついてるよ」


 「気が付いているね・・・」


 ディエゴは少し永零を睨んだ。何か変な事を言ったか?もしかしてディエゴは、かなり過保護なのか?前にもレイノルドがリリアに抱きついた時も凄い殺気だったしな。


 「とりあえず、僕たちはセカンダビリティの訓練を始めようと思う。他のみんなは上級魔法の訓練を始めてくれるかな?沙羅曼蛇さんの捜索に関してはパヴァロフさんと衛府郎さんの二人に任せる。それとニヒルさんは飯綱さんも連れて来てもらえるかな?あの子に関しては最も効率よく成長させられるのは君しかいなさそうだからね」


 「分かったです、と言うかもう懐で寝てるです」


 「ぐー・・・」


 「あ、ほんとだ。じゃあレイノルドさんはウーネアさんや森羅さんたちと一緒に上級魔法の訓練をお願いね」


 「分かったー・・ってん?それってよ、ニヒルちゃんとしばらくお別れってことか!?えー!!」


 「仕方ないですねーあーさびしーなーですー」


 またレイノルドが癇癪起こしてる。こればっかりは仕方がないだろ。私は適当にあしらった。まあこう言っておけば大丈夫だろ。


 「いや!ちょっと最後にちゅーさせてー!お別れのちゅー!」


 何だこいついつになく積極的になりやがって。


 「おるぁ!!何人の女に手を出しとるんじゃこら!!」


 そこにウーネアの強烈な蹴りが入った。最早殺す勢いで蹴ったな・・・てか人の女ってなんだ。私はお前の彼女か?


 「いててて、悪かったよ。寂しくてついな。まぁ元気でな?俺の事忘れんなよー?」


 忘れられるか、お前みたいな男。



 『ゴーン!!ゴーン!!ゴーン!!』


 

 私たちがそんなやりとりをしてる中、突然開門の鐘が鳴り響いた。


 何だろうか、今この国の門は開きっぱなしになっている。敵襲、ならばこんなのんびりはしてる訳ないよな。


 「なんで鐘がなってんだ?」


 「見てみるですか」


 私たちは解散し、門へと向かった。けど、その時に後ろの方でディエゴと永零の会話が鐘の音にかき消されながら辛うじて聞こえていた。


 (永零、お前は本当に気が付いているのか?)


 (うん、分かってるよ・・・リリアさんの事・・・)


 (任せて良いんだな?)


 (僕が必ず守り抜くよ)


 リリアの事、相当心配してるのか?ここまで何度も永零に口酸っぱく言うなんてな。


 兄妹か、私たちも姉妹だけど、私はウーネアの為にここまで心配してあげることが出来るのだろうか。


 私はその言葉を聞き流し、門へと向かった。


 



 門にはシルフとウンディーネが驚いた顔で立っていた。


 そしてその正面には長い深い緑の葉のような前髪で顔が見えない青年が立っていた。あの髪にあの肌、普通の人間ではないのは確かだ。


 「ウンディーネ、彼は?」


 「ん?あ、だーりんか。あやつは森の国の王、ノームだ。しかし、何故奴がここまで来たのだ?昔からほとんど喋らない不気味な奴でな・・・顔もよく見えなくてしかもずっとあそこで突っ立っておるのだ」


 「森の国ってのは、俺ら颯の国の更に奥にある森があってな、そこは立ち入るもの拒む森でその森の最深部にノームの国があるんだ。これまでどんな事があろうとも、例え邪神が動く事があってもあの国だけは不動だったんだ。それが今、その王がこの国に来た。何なんだ一体よ・・・」


 シルフとウンディーネが説明してくれた。四精霊、大地の精霊という事か。確かに異様な雰囲気だ。沙羅曼蛇のいない今を狙い来たのか。それとも、


 (おい、クソ犬!何とかいうのだ!)


 (は!?何だよクソ犬って!!俺様あいつ苦手なんだって!ウンディーネがなんか言えよ!!)


 二人はどう話しかけるべきか悩んでいた。


 (良いから言え、わらわの命令が聞かぬのか?ならば分かっておるな?)


 (ひっ!わ、わーったよ!!)


 ウンディーネの脅しに屈したな・・・シルフ。


 「よ、よぉ!!ひさしぶりじゃねぇか!!田舎もんのあんたがここに何のようだ!?か、観光か!?」


 「・・・・・」


 「いたぁ!!」


 ウンディーネはシルフの耳を引っ張った。


 (なんだ今のは!失礼であろうが!!)


 (はぁ!?俺変な事言ってねー!!)



 「この子を・・・連れてきた・・・森の中にいたから、君たちは、何か知ってるかと思って・・・」


 ノームは細々と口を開いた。この子?私がノームの後ろを見ようとした瞬間、その子は飛び出した。


 「うん!?この景色!!何となく見覚えがあるぞ!!あの鐘!!あの鐘は儂の帰還の合図だったはずじゃ!!」


 「お、女の子!?」


 飛び出したのは、真っ赤な髪の間にツノが生えているウンディーネよりも少し大きいかなと言えるくらいの女の子だ。


 「うん?そなたら、儂を知っておるのか?」


 いや、しらん。特徴が一致するのは・・・この蜥蜴のような尻尾と鱗のような皮膚。沙羅曼蛇しかいないんだが。

 

 「儂のなまえはのぉ!サラマンダーと言うのじゃ!!じゃがのぉ、それ以外がいまいち思い出せなくっての?何か大切な事を誰かから授かった様な気がするのじゃ!」


 サラマンダー・・・だと?


 「儂は遠くの森で倒れていたらしいのじゃ、そこでこの親切なノームと言う者に儂の名を伝えたらここに儂を知る者がおると聞いてのぉ、それで連れてきてもらったのじゃ!それで、やはり何となくではあるのだが儂はここを知っておるみたいなのじゃ。其方は儂を知っておるのだろう!?教えてくれ!儂は誰なのじゃ!?ん?」


 「んお・・・ふぁ〜。むにゃむにゃ」

  

 サラマンダーは私にキラキラした目を向けた。そしてその大声につられて寝ていた飯綱が目を覚ました。


 「おはよ〜ニヒルおねぇちゃん。ん?あんちゃんだぁれ?」


 「・・・儂!サラマンダー!!めんこい其方よ!!儂と一緒に遊ばぬか!?」


 「ん?遊び!?おいら遊ぶ!!」


 「え、あちょ!!」


 飯綱とサラマンダーは突然遊び出した。さっきまで私に突っ込んでくる勢いはどこへやら。その勢いは飯綱と遊ぶ方向へ飛んでいった。


 「なんなんです、あれ・・・」


 「僕にも・・・さっぱりです。あなたは確か、ニヒルと言う名前の方ですね。僕はノームって言います・・・沙羅曼蛇の、行方不明は知っています。僕は大地を通じて誰がどこにいるのかが分かる・・・しかし、沙羅曼蛇の大きな足音は突然変えました。いや、消された。足音もしない存在に・・・僕に分かるのは、僕の森を脅かすほどの存在がこの世界にいる事。そしてあのサラマンダーと言う子は、多分でしかありませんが、沙羅曼蛇の残した遺産。


 だから僕はあの子を連れてきた・・・あなたたちなら、あの子の記憶を呼び覚ませるかもしれません。だから来た」


 隣で聞き取りづらいが、ノームが話してくれた。


 「ノームおめぇ、ニヒル相手にやけに雄弁だなおい。だったら俺の時に話してくれりゃこんな気まずい感じにならずに済んだのによ」


 「・・・・・」


 あれ、茶化したノリのシルフ相手には口籠ってしまった。


 「ノーム、あなたは仮面の男を知ってるですか?」


 「仮面の?確か、あのサラマンダーが言ってました。最後に見た記憶は蛇の仮面の男がいたと・・・」


 知っている、沙羅曼蛇はやはり仮面の男に殺されている。しかし、彼は最後の力を使いこのサラマンダーと言う子を、産んだ?でいいのか?


 ともかく、彼の記憶を受け継いだ存在を仮面の男の予測できぬ所に送った。と言う事だろう。


 「成る程、お手柄であったのノーム。わらわはお主を褒めてやる」


 「っ・・・・・」


 「なんであるか、その反応!わらわがせっかく褒めてやると言っておるのに!!」


 「ご、ごめん・・・」


 何だ?ノームはシルフとウンディーネとは旧知ではないのか?


 「それで、仮面の男に関しては?何か言ってたですか?」


 「え、いや・・・それは聞いてません。しかし、こうは言ってました。あやつは嫌な感じはすると・・・」


 私が今疑問に思っているのは、サラマンダーの事ではない。確かにそれも気がかりだが、それ以上にこのノームと言う青年は、私に対してだけは言葉が達者になる。


 「そうですか、ノーム。もう一つ質問いいです?私とあなたは初対面です。けど、何故古き友人を差し置き、私にだけは雄弁に言葉を話すのです?シルフやウンディーネは友人ではないですか?」


 「友・・・か、どうから分かりません。僕は、人と話すのがすごく苦手で・・・だからシルフたちとは今までしっかりと話した事はありません・・・けど、何故かはわかりませんが、あなただけはどういうわけか。心が落ち着く、言葉がすらすらと出てくるんです。聞きたいのは、僕の方なんです。あなたは一体何者ですか?」


 まさか・・・これが、永零の言っていたセカンダビリティ。心の支配・・・

 

 私はこの時初めて、自身の能力を知った。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ