第十五週:ブルースとブラザース(土曜日)
どうします?
「どうします?たって……どうしよう?」
まさか四千六百四十九にも分裂してるとは想いませんでしたよね。
「『指南書』の書き方だとそんな血の気の多い組織には見えなかったけどな」
書かれた時期が古いのかなあ?
「あ、それはあるかもな。いつ頃?」
『『銀河相乗り指南書』に掲載されたのは4255年ですが、その基となった記事は3987年のものですね』
えーっと、いまが4261年だから……
『『銀河相乗り指南書』掲載から六年、基記事からは274年が経過しています』
ダメじゃん!!
「そんなことでよく本出せるな」
自動アップデート機能があるはずなんですけどね、この本。
「と云うか、じゃあ、その270年の間に四千いくつかに分かれたってこと?」
『274年の間に四千六百四十九ですね……詳しく調べてみましょうか?』
「あ、いや、そこまでしなくても良いけどさ、あー、ここから一番近くて、一番なんだろ?素人でも入りやすそうな支部って分かる?」
『難しいご質問ですね。一番近いのなら、ここから三光年ほど行った先にありますが……「入りやすそう」の定義はどう云ったものでしょうか?』
「えーっと、そうだな“入退会自由”とか“会費が格安”とか――」
『少々お待ち下さい――』
でも、そんなの亜空間ネットで分かりますかね?
「まあ、でも、このコンピューターなら良さそうなところ探してくれそうじゃない?」
『結果が出ました』
「ほら――で?どこ?」
『地球の 《浮遊舎》が一番よろしいようです』
(続く)