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第十五週:ブルースとブラザース(水曜日)

「私は行かなくても良いんですか?」


 と、予備の……と云うか入隊当初のタイムパトロールの制服に着替えたストーン女史が訊き、


「あー、先ずはBと私で行ってみますよ」


 と、直径50~60cm程の白い“穴”に体を半分入れ込みながら博士が返した。


「なので、何かあった時にはフォローをお願いします」


「でも、立場的には私が行くのが――」


 と、女史は続けようとしたが、これを遮る形で、


 ぷー、くすくす。


 と、Mr.Bが笑った。


「博士ハ気ヲ使ッテクレテンジャナイカ」


「……なんのことよ?」と、ストーン女史。


「穴ノ大キサ見テ見ロヨ」


「大きさ?」


「アンタノ尻ジャ引ッ掛カルダロ?」と、若干パツパツ気味な彼女の制服姿を指差しながらMr.B。「だいえっとハ何処ニ行ッタンダヨ?」


 すると、この言葉に想い当たるフシが山ほどあったのであろうストーン女史は、その赤毛と同じぐらいまで顔を真っ赤に染めると、


「よくも言ったわね!」と、Mr.Bにつかみ掛かった。「人が一番気にしてることを!」


「ウルセエ、コノ前モ池カラ運ビ出ス時ドレダケ重カッタコトカ!」


「あれは水を含んでたからです!!」


「えーっと……」と、《君子危うきに近寄らず》の古諺を想い出しつつ、博士が穴に入って行った。「じゃあ、行って来まーす」


     *


 さて。


 JJJ団の特殊な衣装並びにマスクのせいもあり、彼らの正体を『XYZ望遠鏡』や『聲の形をアナライザー』等のド○え○ん的秘密道具を駆使して見破ろうとしても見破れないのは前に書いた通りだが、そんな科学の力を借りなくても人を特定することは実は簡単だったりする。


     *


「ねえ、あれエルじゃない?」と、沿道から小さな男の子の声がし、それに応えるように、


「ウルプレックスの方はジェイだよね?」と、その女友だちも声を上げた。


     *


 ワン! ニャー!


 ワン、ニャー! ワン、ニャー!


 と云う、《エル》と呼ばれたドギックスと 《ジェイ》と呼ばれたウルプレックスの見事に息の合ったカウントに合わせて、


 パッパ、パッパ、パッパ、パッパ、


 パッパ、パッパ、パッパ、パッパ、


 と云う軽快なリズムを舞台前の観客達が口ずさみ始めた。すると今度は、


 パララーーー、パララーーーッ


 パララーーー、パララーーーッ


 と、何処から来たのか陽気なホーンセクションたちがご機嫌なメロディーを奏で始めた。


 お待たせ致しました!


 曲は!


 《エル&ジェイ》で!!


『誰もが誰かを愛したい』です!!!



(続く)

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