第十四週:パジャマとニヤケ面(木曜日)
「2時間も?!」と、ナビ=フェテスが訊き、
「それでも止めないの」と、シャ=エリシャが返した。「次の日また掛けて来たんだから」
「それは実際、おじさんも困ったろうね」
「パパはまだ良いのよ、食堂組合全体でJJJには反対だって言ってるから」
「“パパは”?」
「ママが教育委員会で根も葉もないウワサ立てられてるんだって」
*
「そんなの根も葉もないウワサです!」と、シャ=エリシャの母・シャ=ビスケスは怒りも露わに言った。「なんで私が浮気なんか!」
「しかしですねビスケスさん」
と、そんな彼女の怒りを鎮めようとしているのか逆撫でしようとしているのかよく分からない口調とテンションで返したのは教育委員会会長のリュ=カルティックである。
「貴女とジグさんが仲睦まじく一緒にいる様子は他の委員の方々も見られていて――」
「アレは会の仕事じゃないですか!」
「ソレはこちらも配慮が足りませんでしたが、それでも少々仲が良すぎるのではと――」
「ですから、ソレが根も葉もない――」
「まあそうカッカなさらないで。確かにジグさんも奥さまを亡くされて久しいですし、お子さまがいらっしゃるとは言え魅力的な方であることに変わりありません。ビスケスさんが彼に惹かれたとして何もおかしな――」
「ジグさんを?!アタシが?!」
「あら?ちがうのですか?」
「冗談じゃありませんよ! あんなパジャマジャ玉!!」
「パジャマジャ玉ですって?!! よくも言いましたわね!!!」
*
「おかげで委員会選挙も落ちちゃって」と、エリシャ。「ジグのおじさん、おばさん達に大人気なんだって」
(続く)