第十三週:恋人とJJJ(土曜日)
……えーっと、つまり。“「空を自由に飛びたいなあ」と夢想するものは、タケノコプターなどを探し求めるよりは、先ずはこの 《ダネイ&リー飛行倶楽部》、別名 《エラリー・スカイハイ・クイーン》へ入会することを強くおススメするものである。”――ですって。
「ですってって言われても……番号とか載ってるの?」
えーっと、電話番号はないですけど、亜空間ネットのホームページアドレスなら載ってますね……見てみます?
「……まあ、見るだけならタダだし」
じゃあ、ちょっとMrのコンピューター借りましょうか、私のこれ旅行用であんまり検索とかには向かないんですよね。
「そうなの?」
亜空間ネットも最近規制が厳しくて。
「ああ、タイムパトロールが頑張ってるとかって聞いたな」
こう云う移動用コンピューターは逐一チェックされているのか、ネットに入ると特に動きが重くなるんですよね。
「へー、でも、ここのコンピューターも異様に古いぜ、デカいし」
まあ、でも、僕のよりはマシですよ……えーっと、音声認識タイプとかって言ってたな、名前は確か――
『名前ハ呼ビ掛ケナクテモ大丈夫デスヨ』
「うおっ! 喋った?!」
すごい。年代物だから立ち上げるのに時間掛かると想ってたけど、やっぱり一品物は違いますね。
『ソノ通リデス、みすたー樫山。例エバ私ハ、某がす惑星探査船ノ船内すべてノ制御ヲ行ウナド地球人類ダケデハ凡ソ困難ナ――』
ああ、うん。その辺りはMrから聞いて知ってるんだけど、こんな機械機械した音声だとは想っていなかったな。
『コレハ失礼……これで如何でしょうか?』
(続く)