表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/331

第十一週:預言とパンケーキ(金曜日)

※筆者注:

以下に引用する歌は、元々古代ヘレニアント語で歌われたものを筆者が銀河公用語に訳したものである。その為、語呂の悪さ、韻律の不自然さ、「え?なんでそんなきっもいセリフ吐けるんスか?」的フレーズも随所に見られるかと想うのだが…………まあ、その辺はご笑納頂ければ幸いである。


     *


「ラブはトレランス~♪」


 と歌いながら、ローベルト・モールトン教授は掛けていたサングラスを外し、周囲をキョロキョロと見まわし始めた。


 すると、この教授の歌声に応えるように、通りの向う側から、


「ラブはカインドネース~♪」


 と歌う甲高い男性の声が聞こえ、更にその後ろから、


 パーパーパーー!!


 と、ホテルのボーイの格好をした――と云うか実際にホテルのボーイなんだけど――三人組のホーンセクション (サックス・トランペット・トロンボーン)が飛び出して来て、二人の再会 (?)を盛り上げる。


 互いを確認し合った教授と男性 (心は女性)は、通りに飛び出すと、走って来たエアカーの屋根に飛び乗り、両手を握り合うと、


「ラブは~~♪」と、見事なハーモニーを響かせつつ、


「ノンノン~、ノット・ジェラス~~♪」と、歌った。


 それから、しばらくの間を置いて今度は、


 ッパパ、ッパ。


 ッパパ、ッパ。


 と、二人が飛び乗ったエアカーがリズミカルなクラクションを鳴らし、周囲のエアカーもこれに合わせる。


「ホナー・ザ・トゥルース~~♪」と、教授がカメラ (?)の方に向き直って歌い、


「ハピネス・アンド・ラースト~~♪」と、例の男性 (心は女性)もカメラ (なんのだよ?)の方を向いて歌った。


「プロミスしてくれたユー~~♪」


「だからワンス・モア~~♪」


 ……ルーなんとかさんみたいだな。


「イエスタディ~~♪」


「ワンスモアをワンス・モア~~♪」


 ……これは大丈夫なの?


「ペテンを嫌い~~♪」と、教授が歌い、


「くだらない大人にはなりたくない~~♪」と、男性 (心は女性)が続け、


「けど~~♪」と、再び二人は見事なハーモニーを響かせた。


「夜の校舎窓ガラス割って歩いちゃダメ~~♪」


 ……次の日、みんな困るもんね。


「ラブはトレランス~~♪」


「ラブはカインドネス~~♪」


「ラブは~~♪」


「ノンノン、ノット・ジェラーース~~♪」


「そうさ~♪ 最後に愛はビクトリー~~♪」


 …………なんなんだコレは???


     *


「フェテスくん?」と、怪訝な声でモールトン教授が訊ねた。「――どうかしたのかね?」


 すると問われたナビ=フェテス少年は、『あれ?終わった?』と云う表情になって、通りに向けていた顔を教授の方へと向け直した。


 教授はもちろんサングラスを掛けたままだし、立ち上がってもいなければ通りに飛び出してもいない。


 エアカーは無音で行き交い、ホテルのボーイは慌ただしく宿泊客の荷物を運んでいる。


 ただ――、


「さっきの人がこっちを見てるよ」と、少年は言った。「――手でも振って上げたら?」


 少年のそのセリフに教授が通りの向うに目を遣ると、先ほどの男性が、多分この先の花屋で買って来たのだろう、小さなエシックス・デイジーの花束を持ってこちらを見ている。


「“あの人”の話なら、いつでも出来るからさ――」と、少年は続け、教授に勇気を持つように言った。


「それに、“あの人”が本当に好きなのは、こう云うお話なんだよ」



(続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ