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第十一週:預言とパンケーキ(木曜日)

 さて。


 『神』だか『悪魔』だか『名前も知らぬあの御方』だか呼び方は様々だが、まあ、そう云う方々のメッセージを“預かる”人がいるとして、そのメッセージの受け取り方、預かり方も人それぞれのようである。


 ある人は芝が燃え盛るのを見て“それ”を感じ、またある人は波の立ち騒ぐ海で“それ”を見た。


 降りしきる雨音の中に“それ”を聴く人もいれば、地下鉄の壁の落書きの中に“それ”を感じた人もいる。


     *


「歌?」と、未だニヤケ顔の治まらぬモールトン教授が、それでも平静を装いつつ訊き、


「そう、歌」と、皿の上のアイスと生クリームとパンケーキの名残りを愛おしそうに集めながら、フェテス少年が答えた。


「それはどんな歌なんだね?」


「色々だよ――明るいのや暗いのや、ぼそぼそ呟いているのや、やたら騒がしいのや」


「それが、どこからともなく聞こえて来る?」


「ううん。歌い出すんだよ、ミュージカルみたいに。時には踊る人もいるよ」


「……踊る?」


「学校の先生とかお店のおばさんとか、道ばたに座り込んでいるおじいさんとか――」


「……が歌ったり踊ったりするのかい?」


「うん」


     *


 パッパー、パッパ―、パーーパラ、


 パララパッパーーー。


 と、突然、高らかなファンファーレが鳴り響き、空から色とりどりの紙吹雪が舞い降りて来た。


 すると、その音に合わせるようにモールトン教授がやおら立ち上がり、


「ラー、ラー、ラブ」と、驚くような声量で歌を歌い始めた。「ラー、ラー、ラブをプレゼント~♪」


「あれ?」と、お皿を舐める舌を止めつつフェテス少年。「始まっちゃった?」



(続く)

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