第十一週:預言とパンケーキ(火曜日)
さて。
昨日の本連載で私は、『予知』と『予言』と『預言』をそれぞれ別物であるかのように書いたワケだが、この件についてある若いスタッフから、
「すんません。それ、ドコがどう違うんスか?」
と、ガムをクチャクチャされながら訊かれたので (いつか上司に訴えてやる)、以下は念のための補足である。
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これらの語を区別するには、私の曾祖父の出身地でもある元・野蛮惑星 《地球》の、その中でもより未開拓な…………えーっと、この国?共同体?の名前は何と言ったか…………どうにもこうにも資料がボロボロで…………
ああ、そうそう、確か 《ニッポなんとか》とか 《ニホなんとか》とか云うエリアの言葉が分かり易いので、それを使うことにしよう。
なにしろこのエリアの住人たちは、他所から持ち込んだ文物を自分たちの使いやすいように加工し使用することに大層長けていたそうで、それは言葉や文字に関しても…………
え?余談が長過ぎる? ああ、では、閑話休題。
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先ず、『予知』とは、「予め (あらかじめ)知る」ことであり、「知る」ことが出来れば、魔法だろうが科法だろうがその方法は問われないし、《見主》のように黙していても良い。
が、次の『予言』は、これは「予め (あらかじめ)言う」ことであり、『予知』のように「知る」ための方法は問われないものの、知った内容は誰かに言ったり語ったりしなければ、その語の定義からは外れてしまう。
で、最後に問題の『預言』であるが、これは「“預かった”言葉を言う」ことである。
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「“預かった”って誰からスか?」と……君はいい加減ガムを……まあ良いか、
そう。
それは『神』とか『仏』とか『超自然的存在』とか、まあ、そう云う方々の言葉を“預かる”のだそうだよ――よう知らんけど。
(続く)




