表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/331

第七週:十六夜月と一身上の都合(金曜日)

「あの、先生」と、『決闘事前チェックリスト (写し)』を読み返していた里長が訊いた。「……決闘の理由に『一身上の都合』としかありませんが、これは大丈夫でしょうか?」


 すると緑の老人は、賭けの胴元に何事かを伝え終えてから、里長の方を振り、


「拳を、剣を、心を交えてみねば分からぬ理由もあるじゃろうからのう――」と、さも何でもお見通しと云う感じの微笑みで答えた。


 ――まあ、いつもの通り、いつもの如く、実際どこまで分かっているのかは不明だけれど。


     *


「剣は持たなきゃダメ?」


 と、フラウスが訊き、これに対して立会人であるサン=ギゼが答えるよりも早く、


「我が家宝の大剣だ」と、シャーリーが口を挿んだ。「なんの問題がある」


 この彼女の言葉に対して少年は、反射的な反論を試みそうになったが、間に立ったギゼはこれを抑えると、


「理由如何」と、二人の問いに同時に答えた。


「キライなんだよ、剣とか銃とか戦いとか」と、少年は言い、


「好き嫌いの問題でない」と、少女が応えた。


 するとギゼは、これ以上は会話も無用と考えたか、その丸太のような右手を前に出すと、


「我が王も――」と彼には長めのセンテンスを使って言った。「剣はお嫌いだ」


     *


 ピー、ガガガ。


 と云う使い古しのマイク特有の嫌な嫌な音がして、


『えー、それでは』と、やたら張りのある中年男性の声が続いた。


『チョアン=リーの皆さま、こんばんわ。今夜の決闘はこの私。ラリー実況早や十年。AGBCCスポーツ部所属、お耳の恋人、ラ=ブーイがお届けさせて頂きます』


 すると、


 キャーッと、広場の方々から妙齢女性たちからの黄色い歓声が立ち起こった。


「ブーイ!ラブリー!!」


 ……何でいるの?


(続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ