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第七週:十六夜月と一身上の都合(火曜日)

「許せないってどう云う意味だよ?!」


 と、少年が叫んだ次の瞬間、彼の目の前にはシャーリー・ウェイワードがいた。彼女は、二本目の大剣を投げ打つと同時に舞台に向け走り出していたのである。


 舞台に跳ね上がった勢いのまま少女は、その右の手で少年の左肩周辺を押し彼の体勢を崩す。そうして空いている左の手で、つい今しがた床に突き刺されたばかりの大剣を引き抜くと、その勢いを借りて少年の首を狙ったのだが――、


『これはいけない』と、悟った男が二人。


 一人はサン=ギゼ。少女の前に割って入ると、その大剣の柄を持ち止めた。


 一人は緑の與田老人。手にした杖にて少年の、そして少女の動きを止めた。


「先生!」


 と、彼と彼女は同時に叫ぶが、與田に打たれた手足はしびれ、その場を動くことすら出来ない。


「ふぉっふぉっふぉっふぉっ」


 と、いつもの例の『なんでもお見通しじゃよ』笑いで老人が応える。


「決闘は構わん」


 まあ、本当にどこまで分っているのかは分らないけどね。


「しかし、ルールは守ってやれ」


     *


 さて。


「決闘」の伝統と云うものは、我らが野蛮惑星地球に限らず、今も銀河の至るところに――主に貴族や為政者、騎士の間に――残されている。


 と云うのも、それは彼ら彼女ら――特に為政者連中が――公私の別を弁えないと云う大病を患っているからであって、彼ら彼女らは放っておくと、私事の問題を公務の問題とごちゃ混ぜにしたまま、私闘で済ませば良いことでも戦争レベルにまで拡げてしまったりするからである。


 そう。


 決闘とは本来、当事者双方の名誉・利害問題を解決するための――他人に迷惑を掛けないための――一つの方法なのである。



(続く)

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