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イースターSP:復活祭とビッグバン(木曜日)

 さて。


 我らが野蛮惑星地球の『ネオ・シャクジイパーク』は、星団歴3918年 (西暦1913年)に豊田銀右衛門なる人物がその地にツツジ栽培のための『第一豊田園』を開園したことに始まり、その後関東大震災等による紆余曲折はあったものの、星団歴3937 (西暦1932年)には『石神井風致協会』が設立、翌年には最寄りの駅名から『石神井公園』へと名称が変更された。


 で、その後、『新・石神井公園』『続・石神井公園』『第四新石神井公園』『シン・シャクジイP』『しゃくじぃこぅえん (六代目)』『石神井公園:Reスタート』等々の名称変更が為された後、星団歴4150年 (西暦2145年)――奇しくも例の『えっ!そんな簡単なことで良かったの?タイムトラベル問題』の年に、現在の『ネオ・シャクジイパーク』へと名称が固定されることになった。


 が、ただまあ、とは言っても、場所も範囲も特段変更等はなく、例えば、例の「けやき広場」なんかも「ニューケヤキスクエア」みたいな新しいのか旧いのかよく分からない感じの名前に変わっただけで、そこに棲む植物なんかも特に立ち退きや引っ越しを求められたりすることもなくずっとそこに居たりする。


 ――そう。あの 《ケヤキのボブ》みたいにね。


     *


「じゃあ、アナタも小張さんをご存知なんですか?」


 と、驚いた感じで博士が訊いた。


“ご存知も何も、あのメスにはいくつも枝を折られたりいくつも実を落とされりしたぞ。”


 と、ケヤキのボブは怒りテレパシッた。


“しかも二人同時に落っこちて来てだな――”


『二人?』


 と、ここで博士とライリー女史は一瞬顔を見合せたが、すぐに事情を察すると、


「それは大変でしたねえ……」


 と、同情するフリをしながら話を戻すことにした。


 ――自分たちも一枚かんでいたことは言わない方が良いだろう。


「ところで、そのフラウスと云う少年なんですが――」


“おお、あのオスはなかなかに見どころのある子どもだったぞ。”


 と、ボブ。


“そこのアイなんとかスオブなんとかシディアンをワシに託すと、その熱き血潮と血塗られた両の拳を持って単身敵地へと乗り込んで行ったのだよ。”


 ――なんか話が盛られてません?


     *


 で。


 とまあそんな感じで、博士たちによるケヤキのボブへの事情聴取は進むのだが、


『あれ?宇宙っていま縮むだか爆発するだかしていなかったっけ?』


 と云う至極真っ当な疑問を持たれた読者諸姉諸兄のために一応補足しておくと、確かに現在、宇宙は上を下への――まあ、宇宙には上も下もないんだけど――の大騒ぎの真っ最中である。


 であるがしかし、彼らがいま居る 《地球》は、稼働した 《ホーライ・カスケード》の中の一つに含まれる 《地球》であり、その中は相対時間の静力学的作用により保持され保護され続けているため――まあ時々、船酔いとか二日酔いとか自分酔いみたいな気分に苛まれたりはするけれども――安全・安心・快適に過ごせるようになっているのである。


     *


『……植物に圧し潰されていなければね』


 と、ここで息も絶え絶えに訴えるのは、引き続き地べたに埋められたままの“シズカ”である。


『そろそろ出してくんないかなあ?』


“出せばまた妙な技を放つであろう?”


『仕事は失敗したし 《滝つぼ》も稼働し始めたし、何かする理由なんてないわよ』


“いや、それでもあの御仁との約束がある。”


『あのさあ、その子を向うに連れてくにもそれももう遅いって何度も説明――』


“だから、その説明がチンプンカンプ――、”


 するとここで、“シズカ”の言葉に引っ掛かりを感じた博士が


「あの、」


 と、一人と一植物の会話に割って入った。


「なんで私?私たち?が関係してくるんですか?」



(続く)

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