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イースターSP:復活祭とビッグバン(水曜日)

 さて。


 かなり以前に書いたことなのでこのお話の作者もついつい忘れそうになってしまうが (第十六週の金曜日)、イン=ビト王の必殺技 《最大剋星龍捲風 (ビッグバン・セオリー)》は、その知名度・人気の高さから『ぜひ会得したい・させたい』と云う騎士・騎士団連中がそれこそ惑星間移動に飛び立つクアノカワタリバッタの如く多く、その為の動画販売や講習会も雨後のアメジャカタコウナの如く行われたりもしたのだが、如何せんアレがアレでアレな技であるため、その習得者はプランク長の如く限りなくゼロに近く、辛うじて


「あ、なんかそれっぽいの出ました!」


 と云う騎士が極まれに出て来る程度しかおらず、それも


「あ、でも、どうやって出したかはよく分かんないっスけど」


 と云うセリフと伴に語られるレベルでしかなかった。


     *


「それが“クースラポリの義憤”?」


 と、何故か足を前後に開きながらフラウスが訊き、


「そう。それが“クースラポリの義憤”」


 と、シャーリーが念を押した。


 ――なんで足を開いたの?


「でも、最小バージョンって言うには凄すぎる技だったよ?」


 と、フラウス。今度は何故か重心を後ろに移動させている。


 ――足?


「それでも原理は一緒のハズだから、そっちが出……」


 ――なんで重心を移動させたの?


「原理が分かれば出来るんなら誰でも出来るってことじゃん」


 ――重心?


     *


 と。


 さて。


 これも大層以前に書いたことなのでこのお話の作者もキレイサッパリ忘れていたが (第二十六週の金曜日)、フラウスの身体の中には 《優性戦争》時代の――その遺伝子改造競争&狂騒の中で開発されたものの中でもトップクラスの―― 《騎士の血》が流れており、その能力の中でも特に「ちょっと何言ってるか分からない」レベルで訳の分からないモノの中に、彼の身体の 《フライング能力――時間をフライングする能力》がある。


     *


 なので。


 もちろんこの時――と、まあ、時間も空間もまだ始まっていない段階で“この時”も何もないのだけれど――彼の周囲の少年少女たちはもちろん当のフラウス本人も気付いていなかったのだが、彼の身体は、“この”と云うか“あらゆる宇宙”を救うと云うか再スタートさせるために、以前受けた“六祥・シズカ”の技を想い出しつつ、そのオリジナル版を


『多分こんな感じじゃない?』


 と、放ってみることにしてみたのである。


     *


「なに?……どうかした?」


 と、自身の意識とは無関係に交される両の腕と、そんな彼の身体から後退るように離れて行く幼馴染みを不審に想いながらフラウスは訊き、


 そんな彼の身体に危険を察知したシャーリー・ウェイワードの身体は、彼女の意識とは無関係に、半ば緊急避難的に彼女の口と声帯を動かすと、


「みんな伏せて!」


 と、彼女に叫ばせていた。


「吹き飛ばされちゃうわよ!!」


     *


『ビッグバン・セオリー!!』


 と、この時のフラウス少年が叫んだかどうかは、その場に居合わせた少年少女たちはもちろん、既に彼ら彼女らを完全に見失っていたMr.Blu‐Oたちにも結局のところは分からなかったのだが、まあ、宇宙が――あらゆる可能性を含んだあらゆる宇宙が――無事“再起動”したことと、フラウス少年の性格から察するに、彼はきっと、まるで恥ずかしいヒーロー映画かアニメの如く、その技名を叫んだ。


 ――のではないかと想われる。


 よう知らんけど。


     *


 で。


 とまあ、そんな感じであらゆる宇宙は無事再起動を果たしたわけだが…………そう言えば、あの三バカトリオはドコに行った?



(続く)

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