表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
325/331

イースターSP:復活祭とビッグバン(火曜日)

「“ビッグバン・セオリー”?」


 と、その細い眉を片方だけ上げながらシャーリー・ウェイワードは訊き返した。


 ここは、十七個のMrのポッドによって作られた“限りなく無限に近い小ささ”の中にある“見た目よりも中が広い空間”で作られた“フラウスたち少年少女を大爆発以前の宇宙に送り込むための空間”である。


 ――ああ、もう、ややこしいなあ。


「それって、イン=ビト王の“最大剋星龍捲風”のことですよね?」


 すると、この彼女の問いに対して、


「私たちが見たソレをフラウス君に伝えれば良いんだって」


 と、先ずはシャ=エリシャが応え、


 ――この子カワイイわね。


「まあでも実際、感想は『スゴカッタ!!』だけだけどね」


 と、ナビ=フェテスが続けた。


 ――そう?エリシャの方がカワイイよ?


 と、ここでロンが


「フ……ラウ……ス?」


 と、暗闇の方を向きながら訊いて来たので、


「ああ、私の幼馴染みよ」


 と、少しあせり気味に応えた。


 ――結構、イヤなヤツなんだな、これが。


 が、しかし、そんな彼女の応えには答えすにロンは、残った右手で闇の奥を指すと、


「い……え……あそ……こ?」


 と、続けた。


 ――あそこで倒れている人のことですか?


     *


「あのフラウスって子が“穴”と何かしらの関係を持っているってのは、最初に会った時から気付いてた」と、大耳大鼻の男性が言い、


「ただ、それが何かはよく分かんなかった」と、金髪碧眼エセ関西弁の女性が続けた。


「でも、あの子のお母さんが惑星 《シャン・ディ》に行っていたと聞いてピンと来た」


「大昔に 《泰坦》が作った多世界ポータルの名残りがお腹の中の赤ちゃんに影響を与えたんやないか?――ほんと昔っから、図体だけデコうて迷惑な奴らや」


「でもおかげで、今回の作戦を立てられた――“穴”からの影響を受け、祖父譲りの“騎士の血”を持っている子供がいる」


「あ、そう言えば、サマラタに貸した20ダダン、キチンと返して貰っといてな――」


     *


「それだけ?」


 と、未だ覚めやらぬ眼でフラウス・プラキディウス・ランベルトは訊き返した。不思議なことに、この暗闇の中にあって彼らの周りにだけは何故か薄く青い光が灯っている。


「それだけじゃ何も分かんないよ」


 すると、この言葉に対してフェテスは、


「でも実際、フラウス君ならそれで分かるってその人が――」


 と、少し不満そうに応えた。


 フラウスとの再会の感動 (?)もそこそこにエリシャと二人イン=ビト王の奥義について興奮混りの解説を続けているのだが、当の本人がなかなかピンとは来てくれないようなのだ。


「“ビッグバン・セオリー”?」


 と、フラウスが訊き、


「そう!“ビッグバン・セオリー”!!」


 と、改めてフェテス&エリシャは答えた。


「どんなヤツ?」


「だから、ドッゴーンでバッゴーンて感じで」


「それから、グオォオォオン!って来るのよ」


「やっぱりサッパリ分からない」


「あーもー……ほら、プラネタリウムでも見たじゃない?ドッゴーンでバッゴーン!」


「そうそう。扉がふっ飛んだじゃったやつ!」


「うん?……アレは“クースなんとかの義憤”ってヤツだよね?」


 と、ここでフラウスは、我知らずのままその場にやおら立ち上がると、


「片目のお姉さんはそう叫んでたよ?」


 と言った。


 すると、こんな彼らのやり取りをもどかしく想ったのだろうかシャーリーは、


「それよ!」


 と小さく叫ぶと、フラウスに詰め寄りながら、


「それが!“クースラポリの義憤”!」


 と、少々興奮した口調で言った。


「それが“ビッグバン・セオリー”の最小バージョンなの!」



(続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ