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第四十八週:オオイチョウと左腕(木曜日)

「よろしいですかな?陛下」と、白髪長身の老人は言った。「ようやく――終盤戦です」


 と、その言葉に合せるように、フェテスやエリシャの居る時間帯の 《死者の惑星》、そこから見上げる暗黒の宙に浮かんだ別の惑星が、更なる降下を始めた。


 すると、それまでその惑星の降下を防いでいた軍隊アリの群れのような玄き柱――この 《死者の惑星》に住まう死霊たちで出来た暗き柱――も折れ、その勢いのままに二つの惑星は衝突した。


 そうして、それを引き金として――フェテスやエリシャの居る時間帯の―― 《女神たちの滝つぼ》は起動を開始し、その初期段階として、「この宇宙で」眠る者たちに数々の夢……いや、数々の「可能性」を、夢見させていた。


     *


 地上は荒れていた。


 《女神たちの滝つぼ》の起動開始により役目を終えたオートマータたちは動きを止めていたが、二つの惑星の衝突で起きた地響きと大気の変動は地上にいるイン=ビト王の兵士ら生者ばかりか、この惑星の死者たちをも混乱の淵に落とし込んでおり、そうしてもちろん、未だ大木の上に居たフェテスとエリシャも――、


     *


「バカじゃないの? バカじゃないの? バカじゃないの?!」


 と、激しく揺れ動く大木の上で、その枝に必死でしがみ付きながらエリシャは叫び、


「落ちる! 落ちる! 落ちる! 落ちる! 落ちる!!」


 と、エリシャの身体に必死でしがみ付きながらフェテスも叫んだ


 ――が、直後、


 フワッ。


 と、二人の身体が一瞬、重力のくびきから解放されたかのように軽くなり、


「あれ?」


 と、エリシャが言い、


「僕ら浮いてない?」


 と、フェテスも言った。


 二人は、宙へと投げ出されていた。



(続く)

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