第四十七週:図書館とくっつき虫(木曜日)
『君とは縁があるって言うかなんて言うか――』
と、真っ白なブラウスの袖に纏わり付いて来る無数のウマノミツバ (超進化版)をはたき落としながら女性は言った。
『この前はまんまと出し抜かれちゃって、お姉さんちょっとショックだったんだよね』
それから彼女は、今度はその細い足にズンズンズンズンとくっ付きのしかかろうとするタコウギ (超絶進化版)の一群を小まめに躱しながらフラウスの横に縋る小さな影を見付けると、
『で、君が“アイスちゃん”ね?』
と、言った。――なるほど、“陛下”ソックリじゃん。
そうして、そう言ってから彼女は、その黒髪にパラパラパラ。と落ちて来てはペタペタペタ。と引っ付こうとするヤブタバコ (スーパーデラックス版)たちを払いのけつ……
え?何か言いました?
「さっきから代わる代わる出て来る植物たち (?)は一体なんだ?」
……“くっつき虫”って知りません?
*
アナウンサー (以下、A):じゃあまずは、お名前と年齢を教えて下さい。
ボブくん5才 (以下、B):ロバート・E・ジョンストン!ボブです!年長さんです!!
A:お、元気一杯ですね――何才ですか?
B:5才です!
A:今日はどんな質問ですか?
B:えーっと、“くっつき虫”は植物なのに、なんで“虫”って言うんですか?
A:あー、なるほど。じゃあ、これは……キャンベル先生、教えて頂けますか?
キャンベル先生 (以下、C):えーっと、ボブくんは“くっつき虫”って見たことある?
B:あります!
C:どんな形してたか覚えてる?
B:えっと、トゲトゲがいっぱいあって……。そのトゲトゲが服や髪にくっつくの!
C:そうだね。そう云う植物の種のことだね。
(続く)




