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第四十七週:図書館とくっつき虫(水曜日)

“そこでワシの曾々々々々々々爺さまはメリなんとかとペリなんとかと云う裸足の子らを保護したのだが、その子らに誑かされてと云うか唆されてと云うか、本来なら動物種同士の争いに割って入ったりはしない我々高貴な植物種も、彼らの敵の魔法使いとその下僕らにより美しかった森が荒らされているのをそのペリなんとかから知らされたので――”


 と、《けやき広場》の 《ケヤキのボブ》は昔話と云うか歴史語りに花を咲かせているのだが……なんかどっかで聞いたような話だね。


“ま、そう云うワケで、もちろん今でも人間は嫌いだが、いざ誰もいなくなってみると、空を飛ぶ鳥や池で泳ぐ魚、ワシらのウロを住処にする小動物たち――そう云う動物種たちがとても懐かしく想える時もあるのだよ。”


 とボブはテレパシると、しばらくの間、星明りも月明りもない真黒な宙を見上げてから、


“もちろん今でも人間は嫌いだがね。”


 と、付け加えた――なんでそんなに嫌いなのさ?


「それでですかね?」


 と、やっと話の切れ目を見付けられたフラウスが言った。


“なにがだ? フラなんとか?”


「その懐中電灯で連続的な突然変異が促がされ続けているのに、二酸化炭素を出す植物が生まれていないのって、なんか不思議じゃありません?」


“……うん? ……うむ。確かに。”


「それって、心の奥――って、皆さんにも心があるのかは知りませんけど――心の奥で、動物や人間たちに戻って来て欲しいって気持ちがあるからかも知れませんよね?」


“……む。”


 と、ここでボブは少しテレパごもると、先ずはフラウスを、次にその横にいるアイスオブシディアンを見てから、


 “確かに――”


 と、テレパし掛けたが――その時、


『なに? また坊やなの?』


 と、無数のオナモミやセンダングサやチヂミザサ等々のくっつき虫に纏わり付かれた女性が現れた。



(続く)

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