第四十六週:パートとタイマー(土曜日)
「いち、に、さん、よん……」
と、ベジタリアン向け (らしい)『テオナナカトルのパイ&マッシュ』を頬張りながら坪井西子はそこにいるメンバーの数を数え始めた。
「……ナツ君も入れると九人ですね」
――このキノコ、なんだかくせになる味ですね。
すると、その言葉に引っ掛かったのだろうか木花咲希が、
「ナツ君?」
と、坪井に訊き返した。
「ああ、あのコンピューターの名前です」
「……違いますよね?」
「いや、ほら、色々と差し障りがあってもアレなので、春夏秋冬から――」
「ああ、次の季節にしたってことですね」
「うん。だから“ナツ君”」
すると今度は、この会話を聞くともなしに聞いていたハズのス・イゲイが、
「すみません、それはあの赤目の機械のことですか?」
と、訊いた。
「私はてっきり“デュヤン”を模したデザインかと想ってました」
「“デュヤン”?」
と、坪井と咲希。
「――なんですか?それは?」
*
大昔に存在した 《泰坦》って巨人族の一人で、西銀河では結構有名な……って木花さんはさておき、坪井くんは知ってても良いんじゃないかい?編集者だろ?
*
「私、先生ほどマニアックじゃないんで――」
と、坪井が言い掛けて、それを受ける形で、
「まあまあ」
と、ウォン・フェイが話を繋げた。
「“デュヤン”は『ナホトセット』にも登場する有名な巨人で、赤目の一つ目で博覧強記、高い知性を持っていたと――そんなに似ているのですか?ス師匠?」
「ああ、子供の絵本に出て来そうだ」
*
ま、君も地球の巨人族がモデルっぽいしね。
『はい。製作者は否定したそうですが』
(続く)




