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第四週:チャームとナイフ(金曜日)

「じゃあ、そのクラゲオバケと一緒に帰っちゃったの?」と、シャーリーが訊き、


「多分、そうなんじゃないかな」と、フラウスは答えた。


「なによ?――その“多分”ってのは」


 そう訊く彼女の右手からヒュッ。と小さな音がして、次の瞬間、7mほど先に置いた割り木に一本の食事用ナイフが突き刺さった。


「そのまま森の奥に消えちゃったんだ」


 と、割り木からナイフを抜きながらフラウスは答えると、そのナイフをシャーリーに投げ返そうとしたが…………やはりそれは止めておき、彼女の元まで歩いて行って返した。


「私になら投げても平気よ?」


「武器はキライなんだよ」


「そんなことじゃ騎士になれないわよ?」


「……なるつもりはないよ」


「……ま、なら、あんたはわたしが守るわ」


     *


「ごめん。フラウスくん」と、雨と雪とヒョウとアラレの集中豪雨 (?)でずぶ濡れになりながら博士が言った。「アレに乗らないとお姉さん帰れなくなっちゃうの――」


 そう言う彼女の目線の先には、あっちやこっちの森の木や岩やソラトビシロチビウマにぶつかり続けているため、飛び去ろうにも飛び去れない彼女のタイムボックスが見える。


 そうして、中からは


「キャー」とか、


「だれかー」とか、


「あのクラゲオバケどこ行った!!」


 と叫ぶ別の女性の声が聞こえるのだが…………ま、こっちはそっとしておこう。


「え?じゃあ、これでさよなら?」と、突然のことに立ち尽くしたままで少年が訊き、


「大丈夫よー、すぐに忘れるからーー」と、走り去りながら少女は答えた。「“レーテー”のことは話したでしょーー?」


「もう会えないのー?」と、少年が叫び、


「さあー」と、少女は叫び返した。「縁があったらー、また会えるんじゃなーい?」



(続く)

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