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第四十六週:パートとタイマー(火曜日)

『促成栽培ライト』は大変に強力・有用かつ危険な秘密道具だ (秘密道具?)。


 第一部におけるゴコシチンシンヤチマタミズチ退治をご記憶の読者ならばご存知かとは想うが、元々このライトは、荒廃した惑星でのテラフォーミング用に開発・計画された“植物向けの”促成装置であったのだが、ちょっと頭のいかれたタイムパトロール隊調達部新規開発係の係長が、その設計をこちらもちょっと頭のネジの抜けた人物に発注してしまったため、『命に貴賎なし』『山川草木国土悉皆成仏』的考えのもと、植物だけでなくあらゆる生命の促成・改良・突然変異を促がす装置として完成してしまったのある。


 そのため、その試作テスト中の事故により金色の三頭龍が一匹の巨大なゴコシチンシンヤチマタミズチに変化して……と云った出来事も今のフラウスたちから二十年ほど後の世界で起こるのだが、それはまた別のお話。


     *


“と、動物に使えば中々危険な懐中電灯のようなのだが、我々高度且つ洗練された知性を持つ植物種が活用すればこれこの通り、惑星を護ることにも繋がるのだな。”


 と、ボブは言った


 ――と云うかテレパシったが、なるほど、改めて周囲を見渡せば、その時の名残りだろうか?超々高層ビルの一群だと想っていたものは実は焼け落ちた超々巨大なヒマラヤスギの一群のようだし、遠くに見える巨大な山影もよくよく見ればその上半分はクスノキか何かの常緑広葉樹が異常な成長を遂げたモノのように見える。


「……ものスゴイね」


 と、他に言葉も見付からないままにフラウスが言うと、


“そうであろう?”


 と、自慢気タップリにボブはテレパシった。


“だから早く動物種たち (除:人類)にも戻って来て欲しいのだが、どうもこの惑星自体、今は別の時空にあるらしくてな、宇宙テレパシーも届かんのだよ。”



(続く)

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