第四十三週:ケヤキと椎の木(金曜日)
「それで神さまは 《ソディム》に向われたんだけど、男性の執り成しも空しく人々の傲慢さは直らなくて、結局惑星ごと消されちゃったんだって――このお話本当に知らない?」
…………。
「そう?それで、その 《ソディム》が消えた後――消された後?に出て来たのが 《妣国神殿》なんだけど……こっちも知らない?」
…………。
「別に謝らなくて良いわよ、たまたま私がこういう変な話に詳しいだけで――」
…………。
「うん。そうよね。――えっ?アイツはダメよ、こんな話してもずっと上の空だったもん――ほんっと、突然来たと想ったら、あのバカ、またどっかに消えちゃって――」
……。
「確かに、消えたのは私たちの方かもね。まさかおとぎ話に出て来る衛星に居るなんて言っても誰も……いま何か言った?」
…………。
「あ、そか、ごめんなさい。別に悪気があって言ったわけじゃ…………やっぱり、誰か話してるわね」
*
「えーっと。そしたら……『超小型宇宙酸素ボンベ』ーー!!」
……なんですか?今の水〇わ〇びさんみたいな声は?
「これを口に咥えたら酸素供給と同時に薄い理力フィールドが出来て簡易宇宙服の代わりにもなってくれるんだよ、の〇太くん」
*
…………?
「キレイな女の人と貧相な顔した男の人が何か話してるわね」
……?
「確かに、タイムパトロールかしら?変なベルトも着け――あ、あれ?消えちゃった?」
(続く)




