第四十三週:ケヤキと椎の木(火曜日)
「ちょっと!エリシャ!起きてよ!」
「うーん?…………ごめんフェテス。もう少し寝かせて――」
「寝ぼけないでよ!重いんだから!早く下りてよ!実際!!」
「え?…………きゃあ!な、なんでアンタ、私のお尻の下にいるのよ?!」
「知らないよ!エリシャが僕の上に落ちて来たんだろ?!」
「落ちて来た……って、ここドコよ?」
「分かんないけど、どっかの山の中の木のうえ…………って、この木、すごく高くない?」
「え?暗くてよく見えな…………うそ?!」
「ね?」
「公園のオオケヤキの何倍もあるじゃない」
「……降りられるかな?実際?」
「これだけ暗いと危ないわね……せめて星灯りでもあれば…………フェテス?」
「なに?」
「この夜空、星がまったく見えないわよ――」
*
「どうだい?ジイさん?」
「いや、レンチには何の反応もない。あの子たちが鳴らさなくてもボビンの位置は分かるはずなんだが――」
「割り出したとか言ってた座標は?」
「“穴”が閉じたら分らなくなった。アルゴリズムを変えたか、勝手に変わるのか――」
「俺は光だから難しいことは分かんねえけどよ、それってマズイのか?」
「あっちが“穴”を開けて来るのを待つことになるが、それが“いつ”“どこで”かの見当がまた付かなくなった――」
「……なんで?」
「あの子たちもそうだが“フラウス”って子も消えたようだ。奴らの狙いが彼のようだったからそれで張っていたんだが――」
「あ、でもだったら、代わりに奴らの仲間が残ってるぜ?」
(続く)




