第四十二週:パンクとショート(金曜日)
次の瞬間。
キム=アイスオブシディアンとフラウス・プラキディウス・ランベルトは、鬱蒼とした草木の生い茂るケヤキの森の真ん中に居た。
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また、別の次の瞬間。
シャーリー・グラウコピス・ウェイワードとロン=リクショア=カイは、数多の雷に襲われ廃墟と化した都市の一角に居た。
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また、更に別の次の瞬間。
ナビ=モイシェス=フェテスとシャ=チポラ=エリシャは、暗く昏い闇に覆われた“死者の惑星”のひと際高い山の上に居た。
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そうして最後に、更なる別の次の瞬間。
大耳大鼻の男性は、菜の花畑を見下ろす小高い丘の上に、遥か昔に捨てたはずの故郷の大地に居た――と、感じた瞬間、
「ジイさん!おい!ジイさん!!」
と、彼を呼ぶ声に目を覚まされていた。
「……セイか?」
と、男性が訊き、
「アンタがやったんじゃないのか?」
と、青い光は訊き返して来た。
「……何の話だ?」
「“穴”と一緒にヤツらが消えて、代わりにアンタが飛び出して来たんだよ」
*
『はて?』
と、“エル”から返されたソケットを確認しながら“少年”が呟き、
『どうかしましたか?』
と、その呟きに気付いた“エル”が応えた。
『奴らから取り返した道具、傷付いてました?』
『いえ、』
と、“少年”
『そう云うワケではないのですが』
――何者かがソケットの跡を付けている?
*
「あれ?」
と、博士とストーン女史が同時に言った。
「――皆さん、どこか行きました?」
(続く)




