第四十二週:パンクとショート(火曜日)
で。
まあ詳しい理屈は避けるのだが (どうせ私もよく分っていないし)、例の 《女神たちの滝つぼ事件》において近付き合ったりぶつかり合ったり壊し合ったりした宇宙たちの中のいくつかの (と云うか無数の?)宇宙たちにおいては、この“限りなく無限に近い小ささ”の“亀裂”が、あらゆる宇宙のあらゆる時間のあらゆる空間にいくつも出来ることになった。
――らしい。
よう知らんけど。
(私もさる知り合いから三日三晩ぶっ通しで大変熱の籠った講義を受けたりもしたのだけれど、結局、まったく、全然、サッパリ、意味不明だった)
*
ブーブーボーソー、ブーブーボーソー。
と、“エル”の起伏に乏しい胸元に隠したソケットが鳴ると、
「あちらの少女です」
と、彼女の下へ青い光を案内して来た宦官ティが言い、
『なんか聞き覚えのある音だな』
と、案内されたその青い光が想った
――瞬間、
ブググググ、グフ、ブググ。
と云う奇妙な次元振動が起こり、
グバァ。
と、“エル”の丁度真横に“抜け穴”が開いたかと想うと、
『お待たせ致しました』
と言う声とともに、“死者の惑星”の少年が現れ、“エル”の手を取り立ち上がらせ、
『それでは――我らの惑星に戻りますか』
と、言った。
*
「あ、そう云うことだったのね」
と、本当に今しがた気付いたと云う声と表情で博士が言った。
「ずっと“ドコかで見た顔だなあ”って想ってたんですよ」
と云うのも、いま彼女の目の前に居るのは、互いに見詰め合ったまま身動き一つ取れないフラウスとシャーリーだったからである。
「あの時は途中で呼ばれてキチンと見れなかったんだけど、ちゃんと仲直りしてたのね」
(続く)




