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第四十一週:自と他(金曜日)

 ビビビビ、ビビビビ、ビ、ビ、ビーー。


 と、節回しを微妙に変化させながらいつものラチェットレンチは鳴り続けていた。


 するとその音楽にも飽きたのか、


「これが計算?」


 と、フェテスが訊き、


「音を鳴らしてるだけじゃないんですか?」


 と、エリシャが重ねて訊いて来たので、


「こう見えて高度な計算機械だぞ?」


 と、少し憤って見せながら大耳大鼻の男性は応えた。


 その上で男性は、


「さっき調べた座標を六次元振動のチテトポップスと共振させた上でトリトロンメタジウムにκらわれたαをβがεすることで逆転時間と逆位相空間のζ線を――」


 と、紳士的且つ丁寧な説明を試みたのだが、κの辺りで二人の頭に大きな、『???』を見付けたので、


「――つまり、相手の居場所を逆探知してるってことだ」


 と言って口を噤んだ。


 すると、


「ああ――」


 と、フェテスが大きく頷き、


「アレは大変ですよね――」


 と、エリシャがその細い目を大きくしながら言って来たので、


「ま、いつかは分かるよ」


 と、男性はそっぽを向きつつ返事をしたところで、


 ビビビビ、ビビビビ、ビッ、ビッーーーー。


 と、どうにかこうにか計算も終わったが――やはり、やたらと虚数が出て来るな。


     *


 ブーブーボーソー、ブーブーボーソー。


 と、“エル”が胸元――谷間はない――に隠した1/2のヘキサゴンソケットが鳴り、


『それでは向かいます』


 と、“死者の惑星”で少年が言った。


『強い次元振動が起こるかも知れませんので、お気を付け下さい』


     *


「すると君が?」


 と、ウォン・フェイは訊いた。


「陛下の令孫――コンスタンティウス殿下のご子息か?」


 ――ファウスティナ様が惑星 《シャン・ディ》で授かられたと云う?



(続く)

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