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第四十一週:自と他(木曜日)

 “鳳凰”とは、東銀河の果ての果て、辺境的野蛮惑星――失礼、“元”辺境的野蛮惑星 《地球》に居たとされる鳥、霊鳥である。


 彼の地の古い文献に依れば、頭は鶏に似、頷は燕、頸は蛇、背は亀、尾は魚に似て、体色は黒・白・朱・青・黄の五色、体長は六尺 (約1.8m)程だったそうである。


 が、大層美しかったであろうこの鳥も、この辺境惑星が星間連合に加盟した時点で既に、他の多くの動物種・植物種と同じように絶滅していた――とされている。


 そのため、この鳥の遺伝子はおろか3D動画などの映像記録も全く残されていない。


 だがしかし、幸いにも、時代をずっと昔に遡れば、この霊鳥の姿を表した絵画・彫刻などが随分と見付かってくる。


 で、ある時私は、偶々訪れた永世中立宇宙ステーション『リューズ・グッド・ジョー』の資料保管庫において、その絵画の一つを見せて頂いたことがあるのだが、その鮮彩華麗な画像を見た時、私は我知らずの中に、


「あっ」


 と、叫んでいた。


 そう、


『この鳥は、西銀河の各地で 《良き兆し》と呼ばれるあの鳥ではないか?』


 と、このように想ったからである。


     *


「西方烈風!」


 と、その見えぬ目で全てを観るかのように、ウォン・フェイは、両の足で地を祓い、両の脚で地を鎮め、腰を落して気を纏い、その気を件の霊鳥の如く拡げた両腕から放ちつつ、


「臥鳳蔵凰!!」


 と、叫んだ。


 ――と、同時に、


 ブブブ。


 グオン。


 シュン。


 ギギギギギギギギギーーーーーギャース。


 と云う奇妙で珍妙で耳障りの悪い怪鳥音がして、博士のタイムボックスが、彼らのいま居るまさにその一室へと現れたのである。



(続く)

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