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第四十週:殺気と動機(火曜日)

「よし。じゃあ読み上げてくれ」と、大耳大鼻の男性が言い、


「了解、行くよ?」と、フェテス少年は応ええた。「先ず一個目“М85・98・ν・β”」


 すると男性は、例のラチェットレンチを器用に動かしながら、


「М85、98、ν、β……」と、フェテスの言った座標をレンチに登録して行った。「よし、次は?」


     *


「はい。なかなか見事な演武でした」と、ウォン・フェイが言った。「この短期間でよくぞそこまで修練されました」


 この言葉にロン=カイは、演武直後で上気し汗まみれとなった顔と身体もそのままに彼に土下座をしそうになった。


 ――が、直後、


「なるほど――」


 と言う温かさと鋭さを同時に持ったフェイの言葉に熱と汗を奪われると、不意にそこから動けなくなってしまった。


「ス師匠のご教授と貴方の素質、それに“学ぶ動機”のようなもののおかげなのでしょう」


 ――イゲイめ、それで私を呼んだな。


「ですがしかし、そのような殺気まみれの拳、私は認めません」


     *


「友だち?」と、博士が訊き返し、


「はい?」と、若干ためらいがちにフラウスは反応した。「――友だちですけど?」


「ふーん」


 と、ここでいつもの博士なら、勘が鋭いわりに全く気が利かないところなのだが、今回ばかりは何故か、その灰色の脳細胞をスムーズ且つ迅速にフル回転させると、


「ちょっと寄り道して行く?」と、彼女には珍しい気の利いた提案をした。「――急いでるから、一瞬だけだけど」


 すると、この提案に少年が答えるよりも早く、何故か博士のタイムボックスが、


 ゴォオォオーン、ゴォオォオーン。


 と、嬉しそうな賛意を表して応えた。



(続く)

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