第三十九週:下ネタとパンダ柄(月曜日)
『やっぱり難しかったですか?』と“エル”が訊き、
『強さは想定通り――』と、後ろ手にされたまま葉来は返した。『が、種類が違いました』
『それで遅れを?』
『と、想いたいのですが――』と、問題の皇帝を横目で見つつ来。
すると、この二人の会話が聞こえてでもいたのだろうか皇帝は、丁度宦官ティ・ワフールとの会話の途中であったのだが、
「10分の1の本気も出しておらんぞ!」と突然、周囲も驚くような大声で――少々楽し気に――言った。「“種類”はもっと豊富だ」
『“一陽来復”は当たっていた!』と、こちらも突然の大声で来。
『ちょっ!葉さん』と、驚いた“エル”が彼を止めようとしたが、それよりも早く皇帝が、
「当たってはおらん!」と、来に向けて叫び返す。
すると、
「へ、陛下!」と、こちらはこちらで宦官のティが皇帝を止めようとしたのだが、
『手応えがあった!』と、来。
「誰か!あの男の口を止めろ!!」と、ティ。
――この人も大変だね。
「いや!止めるな!!」と、皇帝。「手応えだと?!何処に当てた?」
『左の脇腹!』
「それは“幻影”の脇腹だ」
『それでも動きは鈍った』
「この通りピンピンしておるわ」
『あの時――』と、一瞬言葉に詰まってから来。『……あの変な技さえなければ二派目で頸を落とせてた』
「ふん」と、ここで皇帝は少し考えてから、「“荘子送葬”は初見か?」と、訊いた。
すると来は、少しの間、ものすごーーくイヤな顔をしてから、ゆっくりと肯いた。
「なるほど」と、ニヤニヤ笑いの皇帝。「よろしければ、ご教授致そうか?」
(続く)




