第三十八週:フォースとサリュート(土曜日)
『それで調べることと云うのは?』
実は、誰かが僕に成りすまして不審なメールをスタッフと云うか編集部全体に送り付けたらしいんだけど、そいつの居場所を突き止めて貰いたいんだよ。
『なるほど。では、そのメールの入ったデバイスを私に繋げて頂けますか?』
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「入っているのは私のスマートフォンですけど――」と、坪井西子は言い、「繋げるってどこに繋げれば良いですか?」と、その赤い一つ目のコンピューターに訊いた。
――このコンピューターって“あの映画”のコンピューターよね?
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『なるほど、かなり旧式のデバイスのようですので、そちらのゲル状のボックスの中に入れて頂けますか?』
「坪井さん、わかるかい?――ああ、それそれ――え?気持ち悪い?」
確かに見た目はアレだけどさ、要はピコ単位の小さな機械の集合体で、《時主》の技術だと結構メジャーな…………え?そうそう、見た目がアレだってんでタイムパトロールは採用しなかったけどね――ま、壊れたりはしないから大丈夫だよ。
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すると言われた坪井は、そんなカシヤマの顔を一瞥してから、
「本当に壊れないんでしょうね?」と、不信感たっぷりの声で言った。「壊れたら先生に請求しますからね?修理代」
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大丈夫だって。僕のパソコンもそこに入れて修理して貰ったことが――なに?小張さん?あ、そうそう。TPの“メディカルガン”もこれの応用らしいですよ……って、なんで知ってるんですか?……あー、TPのストーンさんを治療した時に使ったんでしたね。
(続く)




