第三十八週:フォースとサリュート(水曜日)
さて。
これより遡ること五年ほど前……と云うか、時間的にはフラウスたちの居る時間よりも二十年ほど後……と云うか……えーっと、つまり、小さかった博士がMrやセイさんやウーさんなんかと旅をしていた頃の話ね。
あの頃、所謂“宇宙の終わりの直前”に博士たちが行った時、彼女たちは超非周期彗星である 《インセッツ》から、既に“そこ”に飛ばされていた 《時主》の惑星 《シュールー》目掛けて“ジャンプ”することで“そこ”に辿り着くことが出来た。
で、まあこれはつまり、《シュールー》と 《インセッツ》が時空間的に繋がっていた――と云うか繋げられていたからこそ出来た芸当で、で、この広い広い宇宙にはもう一つ、この惑星&彗星と繋がっている惑星が存在していたりするらしい。
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「それが、《銀河最後の秘境》とも言われる惑星 《カーウ》……らしいですね」と、ゴーグルに付いたマックロクロスケモドキを丁寧にふき取りながら博士。
「へえー」と、あまりに素っ頓狂なお話に唖然と感嘆の入り混じった声をストーン女史が上げ、
「ソレハソレハ――」と、こちらも感心とも得心とも付かぬ声でMr.Bが続けた。「デ、ソノ話ト今回ノこれガドウ繋ガルンダ?」
「それは――」と、博士は説明を試みようとしたのだが、どうもやっぱり頭の整理が追い付いてくれない。
そこで代わりに――、
『前に一度、この宇宙と他の宇宙たちがぶつかり掛けたことがあるんだけど、そのキッカケと云うか装置と云うかが、その“宇宙の終わりの直前”にあるの――』
と、通話モニターの向うのランダム教授が説明を加えてくれた。
『その女の子が本当に別の宇宙から来たのだとしたら、“そこ”にあった装置 《女神たちの滝つぼ》が関係しているでしょうね』
(続く)




