第三十七週:ヤンチャとスカウト(土曜日)
『お帰りなさいませ。 《浮遊舎》の方々とは会えましたか?』
「いやそれがさ、場所はさておき時間が全然違ってたぜ?」
『え?そんな筈は――『地球、ネオ・トーキョー、ネオ・シャクジイパーク、4261』に到着している筈ですが?』
「だって現地?現時?の人が違うって言うんだからさ――」
『“現時の人”とは、そちらの方々ですか?』
*
「なんですか?ここは?」と、最初に驚きの声を上げたのは木花咲希であり、
「い、いま、私たち、小さな箱の中に入りましたよね?」と、次に驚いてみせたのは佐倉八千代であった。「むこうの壁まで30mはありません?!」
――いやあ、新鮮なリアクションがあると助かりますね。
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「ああ、そこの公園で偶然会ったんだけどさ――」
僕の小説に出てくれてる人たち――と、あっちのメガネの人は小説のスタッフの一人ね。
『なるほど、それで“現時の人たち”がこの 《見た目より中が広い》空間に驚いていらっしゃるのですね』
そうそう。
『しかし、あちらの黒パーカーの方は驚いていないようですが?』
*
「あ、私は前に乗ったことがあるので――」と、小張千春。「博士やライリーさんのとはまたちょっと違うタイプのようですけど」
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そうそう。これはその元になったMrのポッドなんだけど、それに例の木星探査船ディ (*検閲ガ入リマシタ)のコンピューターだった彼に載って貰って――あ、それで調べて貰いたいことがあって戻って来たんだった。
(続く)




