第三十五週:コペンとハーゲン(土曜日)
「合コン?」と、小張千春が訊き返し、
「タイムパトロールの人たちと?」と、佐倉八千代が続け、
「しかもそれをスッカリ忘れてた?」と、まるで汚い大人でも見るかのような目付きで木花咲希が言った。「――“見るかのような”じゃなくて“見ている”ですけどね」
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で、でも、なんで編集部に?……え?僕の携帯にも何度も掛けた?……いや、無視したりするワケないじゃ…………ん?コンノさんやタケオくんの連絡先を訊かれた?……ああ、確かに名前は出しましたけど……え?「二人ともクリーンなイメージで売っているから、そう云うのはやめてくれ」?――いやいやいや、いやいやいやいやいやいや、あのね坪井くん、あの二人が先、僕も以前彼らから誘わ…………うん?二人が口を揃えて「樫山がしつこく誘って来るから断われない」と言ってる?!――アイツら人がいないからって好き勝手なこと言いやがって!!
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「小張さん合コンとかは?」と、佐倉八千代が訊き、
「全然、お声が掛からないので」と、小張千春が答えたので、
「掛からなくて正解ですね」と、木花咲希が吐き捨てるように言った。「カシヤマさんみたいな人が来るかも知れないんでしょ?」
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「ちょっとちょっと、樫山さんよ」
すみませんデュさん、いま大事なところなんで少し待ってて貰えますか?
「いや、じゃなくて、アンタずっとバアさんと旅してたんだろ?その後は隠居所に詰めっ切りだったし」
でもMrは八分の六が男の人ですから――、
「いや、だからそうじゃなくて、あそこの隠居所、電波まったく入らないぜ」
(続く)




