第三十五週:コペンとハーゲン(火曜日)
「昔の博士?」と、先ずはストーン女史が言い、
「マ、顔ハ似テルケド」と、Mr.Bが続けた。「アッチノ子ハ良イ子ソウジャナイカ?」
「それはアレよ、あっちの子は目が濁っていないもの」
「目?」
「博士の目もキレイなんだけどね」
「アア、時々“ヨロズ屋ぎんチャン”ミタイナ目二ナルモノナ」――アレ、怖インダヨナ。
「でもアレよ?あのバージョンを知らない人には評判良いのよ、博士も」
「マ、顔カタチハ悪クナイモンナ」
「なにも知らないってのも幸せよ」
「憶エテルカ?でぃらっくノかじのニ行ッタ時ノコト」
「忘れられませんよ、潜入捜査なのに本気でコペンハーゲンポーカー始めちゃって」
「かもニサレテルノ気付カナイデどんどん突ッ込ンデナ」
「あの時も私が助けに行きましたけど、その時の目付きが怖いの怖くないのって――」
と、カジノでの博士の狂態と血走った表情を想い出しながらストーン女史は言ったのだが…………なあ、何でこんなに脱線するの?
「あ、すみません」
「マ、博士ニ似テルケド、全然違ウ子ダヨ」と、Mr.B。――作者的ニモアッチガひろいんノ方ガヤリ易インジャナイ?
それは言わない約束なのだよ、Mr.B。
「あのう……」と、これらのやり取りに心を折られながらも博士。
「作者さん的に次の展開を悩まれてるのは分かりますけど、そろそろ真面目に進めませんか?」――向うの方も困っているようですし。
『本当にね』と、“向うの方”の“エル”が呟いた。
『役者も揃ったようですしね』――やれやれ、やっと話せますよ。
(続く)




