第三十五週:コペンとハーゲン(月曜日)
「博士かどうかと訊かれると――」と、先ずはストーン女史が言い、
「顔ハそっくりダケド」と、Mr.Bが続けた。「ムコウノ方ガ美人ジャナイカ?」
「それはアレよ、あっちの人はお化粧してるもの」
「オ化粧?」
「うっすらだけどね」
「デモ、背モ気持チ高クナイカ?」――胸モ大キク見エルゾ?
「それもアレよ、ちゃんとした服着て背筋もキチンと伸びてるもの」
「アア、コッチハイッツモじゃーじカ寝間着ダモンナ」
「成長期なのに猫背を直しませんしね」
「ソレデ男ッ気ガナッテ嘆イテンダカラショウガネエ奴ダヨナ」
「そこは話が違うわよ、見た目をキチンとしてても出会いがない時はないんだから――」
「ダッタラだいえっとモ無意味ジャナイカ」
「うるさいわねえ、それとこれとはまた別の話なのよ」
と、お腹周りを凹ませながらストーン女史は言ったのだが…………って、ごめん、話進めても良い?
「あ、そうですね」
「マア、博士ニそっくりダケド、多分別ノ人ダヨ」と、Mr.B。――ボク的ニハアッチノ方ガたいぷダケド。
と、この二人の会話に心が折れかけていた博士ではあったが、どうにかこうにか年頃の乙女としての自信と自覚を取り戻すと、背筋を伸ばして胸も張りつつ……、
『ええっと――』と、先ずはここで何をすべきかを考えた。
目の前には自分にそっくりの女性が一人と、何処かで会ったような気がする男の子が一人。それと――、こっちの子は昔の私にソックリじゃない?
(続く)




