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第三十四週:ボビンと鈍い音(火曜日)

「いまの人、壁を通り抜けて来なかった?」と、廊下の陰に隠れながらエリシャが言い、


「“スルーフラフープ”かな?」と、そのエリシャの陰に隠れながらフェテスが言った。「従兄の兄ちゃんの漫画で見たことあるよ」


「そんなの本当にあるの?」と、エリシャ。「漫画だと想ってた」


「“東の帝国で開発されてる”って書いてたよ、実際」と、フェテス。「“実用化はまだまだ先だ”とも書いてたけどね」


     *


『ごめん、私の顔に何か付いてる?』と、“黒の少女”ことキム=“エル”=アイスオブシディアンは訊いた。『女の子の顔ジロジロ見てたら勘違いされるわよ?』


 そう言われてフラウスは、フッと目を逸らすと、自分の手を握る小さな少女の顔――彼女と同じ彼女の顔――を一瞥してから、


「憶えていないんですか?」と、言った。


『だから憶えてるわよ、“この前会いそこなった”って言ったでしょ?』


「そうじゃなくて」と、“消えたハズの記憶”を想い出しながらフラウスは続ける。「何年か前にも会ったでしょ?」――《女神たちの滝つぼ》のことを言うべきだろうか?


『この顔に?』と、左の人差し指で自身の顔を指しながら“エル”『そんなハズないわ』――会うとしたら二十年以上は後の話よ。


「それが憶えていたんです」――記憶は消されなかったんです。


『どう云うこと?』――“こっち”の歴史も変わり掛けてるの?


「理由は分かりませんけど」――本当に“この人”は“あの人”か?「機械の故障とか?」


『機械?』――ああ、タイムパトロールに入ったって書いてあったわね。


『ああ、“レーテー”ね』――記録に残っていない出会いがあったってことだろうけど……でも、じゃあなんで記憶が残ってるの?



(続く)

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