第三十三週:胡蝶乃夢と一陽来復(水曜日)
「行ケナイ?」
と、久々登場Mr.Bがブヨブヨと飛びつつ訊いた。
「たいむぱとろーるノぼっくすデ行ケナイ所ナンテアンノカ?」
すると、こちらも久々登場ストーン女史が、
「行けなくはないけど、“無理矢理じゃないと行けない”ってことね」
と、エンジンルームのカギを開けながら応えた。
「――で、その“無理矢理”をこれからやろうってワケ」
「ソレハ大丈夫ナノカ?」と、B。
「博士曰く“昔の人はよくやってたらしいです”だそうよ」と、女史。
「ソレハ……大丈夫ナノカ?」
「一応、技術部にも確認は取って来たし……あんまり不安にさせないでよ」
「マア、イツモノコトダカラ良イケドサ…………デ、肝心ノ博士ハ何処ニ?」
*
「やあ、なんだか久しぶりだな」
と、タイムパトロール整備部第三工場長カゲヤ=ヒイロは言い、
「亜空間通信ではしょっちゅうお会いしてますけど」
と、白いジャージの博士が返した。
「直接会うのは二年ぶりぐらいですか?」
「ま、レスキューの人たちは外を飛び回るのが仕事だからね」
「私、レスキュー部じゃないんですけど」
「師匠に似たんだろ?仕方ないさ」
「それ、アベラさんにも言われました」
「ま、君が初めて来た時のことを知ってるとね――で?ただの挨拶じゃないよな?」
「流石、工場長」
「君が分かりやすいんだよ――で?」
「それが――どうも最近、変なことばかりが続いていて」
*
「フラウス」
と、宙を見詰めたまま皇帝が言った。
「その子を連れて中に入り、誰か呼んで来い」
――一人の方が楽しめそうだがな。
「今宵は珍しい客人ばかりのようだ」
(続く)




