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第三十二週:露台と空席(火曜日)

「いいお祖父さんだよね、実際」


 と、つい先ほどまで皇帝が座していた席を見ながらナビ=フェテスが言った。


「あんなに陽気な人だとは知らなかったよ」


 すると、そのあまりに気楽な彼の物言いに、


「あなたは馴れ馴れし過ぎるのよ」


 と、たしなめるような口調でシャ=エリシャは応えた。


「いつお叱りになられるのかと気が気でなかったわ」


「そんなに馴れ馴れしかった?」


「本屋のおじさんとか学校の先生とかと話して感じだったわよ」


「エリシャみたいに変にしゃっちょこばった話し方になるよりマシだろ?」


「私はしゃっちょこばってな……まあ、緊張はしてたけど」


「でも良かったよね」と、小声でフェテス。


「そうね、普通に信じて貰えてるようだし」


     *


「そう簡単に信じると想ったか?」


 と、周囲に人の影も気配もないことを確かめつつ皇帝が言った。


「孫の一人が命を落とし掛けたのだぞ?詳しい報告書を読ませて貰ったわ」


 すると、先ほどまでとはあまりにも違う祖父の言葉と気配に、


「あの、それは――」


 と、普段は全く使用しない頭の領域をフル回転させながらフラウスは答えを捻り出そうとしたが、結局、


「どこまでご存知なのですか?」


 と、自分たちの非を認めることが一番の得策であると云う結論に達した。


「フェテス君とエリシャ嬢がお前を助けたと云うのは確かだろう」


 と、皇帝。


「しかし見る者が見れば、あの爆発が騎士の手による物だと云う事、且つ、それだけでは説明の付かない跡があること明白」


 ――冬ガモの味を想い出したしな。


「――妙な男があの場にいなかったか?」



(続く)

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