第三週:タオルとスプーン(火曜日)
それでは、今日は先ずはお便りから。
『カシヤマ先生こんにちは。いつも楽しいお話をありがとうございます』
はい。こちらこそありがとうございます。
『実は、先週金曜日のお話を読んでいて疑問に想うことがあり、お便りさせて頂きました』
はいはい、なんでしょう?
『ボックスから投げ出された博士が自分以外の時を止めるシーンがありますが、博士の時が止まらないのなら彼女は落下し続けるわけですよね?…………何故あそこで彼女は時を止めたのでしょうか?』
え?……
あーー、………………あれ?
*
『“ラニイ――”は見た目が変わるだけで、“ジーワン――”はナビでしょ?“ロー・ア――”は自分には効かないし――』
と、パッと見はクールなくせに師匠に似たのか結構簡単にパニくるタイプの博士は、今回も結構簡単にパニくっていた。
『エプロンが飛んで来て助けてくれるわけもないし、ウェザーボールをどうにかしたストーンさんがギリギリ――ってのも望み薄。自力でどうにかするとして…………そんな良いアイディアが簡単に生まれるワケもないし、ってか下はモミの木か……痛そうだなあ……そう言えばコハリさんがタイムベルトの着地を間違えてケヤキの木に落ちたって言ってたけ…………そっかタイムベルト!!』
――と、ここで博士が想い付いた方法は次のとおり。
①タイムベルト (今はタイムブレスレット)のリミッターを外して「空間移動のみ」に切り換える。
②海とか池とか落ちても大丈夫そうな場所を探して、移動先をそちらにセット。
③亜空間に飛び込み、既に付いてる加速度は亜空間に分散させて
…………着陸!完璧!
が、博士のこのアイディアは少々――時間を止めた四秒分ほど、遅かった。
(続く)