第三十週:帝と蛇と死刑囚(土曜日)
「あれ?誰か呼んでますよ?」と、小張千春が言い、
「ホントだ、坪井さんって言ってますね?」と、佐倉八千代が続け、
「と云うか、あそこの光おかしくありません?」と、木花咲希が訊いて来たので、
「あー、あれは 《ジバレー》って光の種族の方ですね」と、このお話のスタッフ――坪井西子は言った。「―― 《サカタッティ》だったっけ?」
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「くしゅん!」
大丈夫ですか?
「ああ、なんかちょっと急に鼻がむずがゆくなったんだよ」
……光なのに?
「ま、俺たちみたいな高等知性体は幻想の中でも生きられるからな、あんたらヒューマノイドみたいにクシャミだって出来るんだよ」
…………はあ。
「あ、それより、あっちの子も手を振り返して来たぜ、行こうよ」
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「じゃあ、あの貧相な顔した男の人が?」と、木花咲希が言い、
「問題のカシヤマさん?」と、佐倉八千代が続け、
「なるほど、桜台の樫山さんとはあんまり似ていませんね」と、小張千春が言ったので、
「まあ、仮に子孫だとしても2~300年ほど未来の人なんで」と、坪井西子は返した。「似てなくてもおかしくはないですよね」
*
え?じゃあ、君が八千代くん?で、君が木花さん?――いやいや、想像していたよりずっとキレイなお嬢さんたちなんでびっくりし…………え?あ、うん。小張さんは想像通……ええ、はい、素敵な、うん、えーっと……、頭の良さそうなお顔をされていますね、はい。
(続く)




