西方烈風、臥鳳蔵凰

第二週：コーギーとテリア（土曜日）

　ちょ、ちょ、ちょっとすみません。えーっ、確かお名前をまだ聞いていなかったと想いますが…………何さんでしたっけ？

「……どうしたの？急に改まっちゃって」

　いえいえ、ただただ、『お名前を訊いていなかったなあ』と、想っただけで――。

「ああ……、まあ……、オレの名前だったら、デュだよ、《ジバレー》のデュ・パン。――そういや、アンタの名前は？」

　あ、そうか、そうですよね。ご紹介がまだでしたもんね……そうか、そうですよね。

「――なにがそうなんだよ」

　いや、私の名前ね。ひょっとしたら聞いたことあるんじゃないかなあ？……って想いながら言うんですけどね――、

「なに？アンタ有名な人なの？」

　いや、有名ってほどではないんですけど……例えば、『千駄ヶ谷の中心で愛を叫ぶ』とか、聞いたことありません？

「いや、知らない。ゲームか何か？」

　……あ、いえいえ、ま、ちょっとしたラブコメで、アニメにもなったんですけど――、

「ああ、ごめん。オレ、アニメとか見ないんだよ――あ、ジブ〇とかは見るよ」

　そんなビッグネーム出されてもなあ――、

「うん？じゃあ、なに？その、あんたの小説をもとにしたアニメがあるってこと？」

　ま、まあ、そんな宮〇さんや〇クさんと比べるとゴミクズみたいなもんですけど――、

「ふーん。まあ、よく分かんねえけどさ、それはそれでスゲエんじゃねえの？――ＤＶＤとかは？」

　あります！もう絶版にはなっちゃいましたけど……、

「すげえじゃん！ここにもあるかな？」

　あー、いや、ここにはないんですよ。Ｍｒは昔のばかり集めてますし――なんなら取り寄せましょうか？

「――あ、いや、それほどじゃないよ」

（続く）